全世界の約1/3の糖尿病患者はアジア・太平洋地域に集中
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は2月23日、「ジャディアンス(R)」(一般名:エンパグリフロジン)によるEMPA-REG OUTCOME(R)試験の腎アウトカムでのアジア人サブグループ解析の結果が、東国際腎臓学会ISN FRONTIERS 2018で公表されたと発表した。
2型糖尿病は最も頻度の高い病型であり、高所得国では糖尿病症例の最大91%を占める。また、アジア・太平洋地域における糖尿病患者の増加は深刻で、2014年は1億5300万人と全世界の約1/3の糖尿病患者がこの地域に集中している。
EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者において、標準治療にジャディアンスを上乗せ投与した結果、プラセボ群と比較して、主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクを14%有意に減少。また、心血管死については、リスクを38%減少させたという。
複合腎イベントリスクを36%減少
2型糖尿病の有病率、とくに腎イベントリスクには人種差があることが報告されているため、EMPA-REG OUTCOME試験で約20%含まれていたアジア人集団における腎アウトカムの解析を実施。解析対象は、同試験に参加した心血管イベントリスクが高く血糖コントロール不良のアジア人2型糖尿病患者1,517名。
アジア人集団における腎症の悪化もしくは初回発現の複合腎イベント(顕性アルブミン尿への進展 (UACR>300mg/g)、eGFR(MDRDに基づく)の45mL/min/1.73m2以下への低下を伴う血清クレアチニン値の倍加、腎代替療法の開始、腎疾患による死亡)に関して、ジャディアンス群は、プラセボ群に比べ、複合腎イベントのリスクを36%減少(ハザード比0.64、95%信頼区間0.49-0.83)。また、ジャディアンス群は、プラセボ群に比べ、顕性アルブミン尿への進展のリスクを36%(ハザード比0.64、95%信頼区間0.49-0.85)減少させた。これらの結果は、同試験全体集団の結果と一貫していたという。
ジャディアンス群では、プラセボ群に比べ、ベースライン時のアルブミン尿の有無・程度にかかわらずUACR値は低値を示した。これらの結果は同試験全体集団の結果と同様。推定糸球体濾過量(eGFR)は、ジャディアンス群では、投与開始後早期4週の時点で一旦低下したのち、慢性期にはeGFRの低下がプラセボ群に比べ緩やかだったという。一方、プラセボ群では試験期間を通じて進行性にeGFRが低下した。これらの結果も同試験全体集団の結果と同様だったとしている。
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・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース