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専用メガネ・精密形態測定で新しい近視モデルマウスを確立-慶大

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2018年02月27日 PM12:30

確立されてなかった確実にマウスを近視化させる方法

慶應義塾大学は2月23日、新しいマウス近視モデルの確立に成功したと発表した。この研究は、同大医学部眼科学教室の坪田一男教授、栗原俊英特任准教授、大学院医学研究科博士課程の姜效炎(ジャン・ショウエン)らの研究グループによるもの。研究成果は、学際的総合ジャーナル「Scientific Reports」(オンライン版)に掲載されている。


画像はリリースより

近年、全世界で近視の有病率が増加し、人類の3分の1が近視だと言われているが、近視の発症や進行に関して詳しいメカニズムは解明されていない。近視研究を大幅に遅らせている原因のひとつは、適切な疾患動物モデルの欠如。これまで近視モデルとしてよく使われてきた動物にヒヨコやツパイなどがあるが、いずれも遺伝子改変技術の確立が不十分な動物種だ。生体における遺伝子改変は、細胞レベル、分子レベルでの病態解明に不可欠であり、現在、最も多様かつ容易に遺伝子改変が可能な動物種はマウスだが、これまで確実にマウスを近視化させる方法は確立されてなかった。

また、動物を近視化させる実験として、眼前にすりガラスまたは凹レンズ(近視矯正用レンズ) を設置する方法がある。凹レンズを用いて近視を誘導する方法はレンズ誘導近視(LIM)と呼ばれ、これまでヒヨコでよく使われてきた。一方、マウスはヒヨコと比べて眼球および体全体が小さいため、レンズを眼前に固定することが難しく、また、得られる近視誘導の効果が絶対的に少ないという問題があったという。そのため、屈折値や眼軸長を高解像度で測定する必要があることなどから、LIMで安定した眼軸長伸長を伴うマウスの近視誘導を実現することはこれまで非常に困難だった。

3Dプリンターを用いてマウス専用のフレームを作成

研究グループは、3Dプリンターを用いてマウス専用のフレームを作り、特別に作成した凹レンズを取り付けることで、マウス専用メガネを作成。このマウス専用メガネは、マウスの大きさに準じて自由に調整でき、実験中いつでも取り外すことが可能で、レンズ清拭や点眼などの処置を容易に行うことができる。また、高精度に眼軸長の変化を測定できる新しい技術「」と組み合わせることで、装着したレンズ度数に応じて想定した近視強度にマウスを誘導したことが計測可能となり、過去に報告されたマウスに対するLIMで最も安定性・効率性の高い実験モデルを構築することができたという。

近視進行抑制効果が報告されている薬剤にアトロピン点眼があるが、複数の臨床試験で効果が確認されているものの、作用メカニズムがいまだ不明だ。今回の研究で同モデルを用いて、マウスで初めてアトロピン点眼の近視抑制効果を再現することが可能になったという。研究グループは、「本モデルは今後、近視発症・進行メカニズムの解明に加え、近視の新しい予防・治療法開発に大いに貢献することが期待される」と述べている。

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