第一三共では3番目に臨床開発段階に進んだ抗体薬物複合体
第一三共株式会社は2月23日、再発・進行性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第1相臨床試験において、TROP2を標的とした抗体薬物複合体(ADC)「DS-1062」の、最初の患者への投与を開始したことを発表した。
ADCは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高める。DS-1062は、同社ではDS-8201、U3-1402に続いて、3番目に臨床開発段階に進んだ抗体薬物複合体だ。
TROP2は、肺がんを含むさまざまながん細胞の細胞膜上に過剰発現し、がん細胞の増殖促進、転移、薬剤への耐性獲得等に関与する。DS-1062は、がん細胞膜上のTROP2に結合して細胞内に取り込まれた後、薬物部分がリンカーから切り離され、トポイソメラーゼⅠを阻害することによる殺細胞効果が期待されている。
TROP2高発現のその他固形がん患者の追加的評価も予定
今回の試験は、日本と米国における再発・進行性のNSCLC患者を対象とした第1相臨床試験で、2つのパートからなる。パート1では、DS-1062の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定。パート2では、推奨用量での安全性と忍容性に加え、予備的有効性等も評価し、約40名の患者を登録する予定。その後、TROP2高発現のその他固形がん患者を対象とした追加的評価も予定しているという。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース