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サーティカン、肝移植における拒絶反応の抑制の適応追加-ノバルティス

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2018年02月27日 PM12:00

心移植および腎移植における拒絶反応の抑制に続き

ノバルティス ファーマ株式会社は2月23日、免疫抑制剤()「サーティカン(R)錠」(一般名:)について、新たに「肝移植における拒絶反応の抑制」の効能追加の承認を取得したと発表した。

肝移植は、他に選択可能な治療法がない末期肝不全患者に対する唯一の治療法だが、臓器提供数は非常に限られており、術後の合併症はときに致命的になる場合もあることから、適切な術後管理が必要だ。

臓器移植時の拒絶反応は、抗原を認識したT細胞の急速な増殖が原因。サーティカンは、細胞の成長、増殖、生存および血管新生などに関わる細胞内情報伝達分子である哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)に結合し、主に、インターロイキン-2(IL-2)とインターロイキン-15(IL-15)で刺激されたT細胞の増殖を抑制することで免疫抑制作用を発揮する。世界100か国以上で承認されており、日本でも既に「心移植および腎移植における拒絶反応の抑制」を適応症として承認を取得している。

標準量タクロリムス群に非劣性

今回の承認は、海外で実施した新規脳死肝移植患者を対象とした多施設共同、ランダム化、非盲検、実薬対照、並行群間比較、国際共同第3相臨床試験(H2304 試験)および、日本人患者を含む新規生体肝移植患者を対象とした多施設共同、ランダム化、非盲検、実薬対照、並行群間比較、国際共同第3相臨床試験(H2307 試験)などに基づくもの。いずれの試験でも、主要評価項目である移植後12か月で効果不十分の発現率は、サーティカンと減量したタクロリムス併用群は、標準量タクロリムス群に対する非劣性が認められたという。またサーティカンと減量タクロリムス群のeGFR(平均値)は、ランダム化から移植後12か月までのすべての評価時点で標準量のタクロリムス群よりも高く維持されたという。なお、有害事象の発現率は両群で同程度だった。

肝移植後の拒絶反応を抑制するための標準療法は、副腎皮質ステロイドの併用または非併用下でカルシニューリン阻害薬(CNI)を投与する免疫抑制療法である。CNIは長期的投与により腎機能悪化による慢性腎不全発症やその関連死のリスクがあることが知られており、これはCNIの曝露量に依存して起こることから、必要最低限の曝露量で維持することが望ましいとされる。そのため、CNIと作用機序が異なるサーティカンと減量したCNIを併用することで、CNIの曝露量を低下させつつ、拒絶反応を増加させることなく十分な免疫抑制効果が得られることが期待される。

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