慢性、進行性の代謝性超希少疾患「LAL-D」
米アレクシオン・ファーマシューティカルズは2月6日、「カヌマ(R)」(一般名:セベリパーゼ アルファ)による治療を受けた乳児期発症の急速進行性ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)患者における推定3年生存率が68%であることが、2つの非盲検試験の併合データの中間解析によって示されたと発表した。
LAL-Dは慢性、進行性の代謝性超希少疾患で、患者は複数の臓器に障害を生じ、早期死亡に至ることがある。乳児期発症の急速進行性LAL-D患者における死亡時月齢の中央値は3.7か月で、1歳までの死亡率はほぼ100%。LAL-Dの原因は遺伝子変異によるもので、脂質の分解に必要なライソゾーム内の酵素であるLALが欠損または活性が低下し、それにより肝臓、血管壁、小腸などの臓器に脂質が慢性的に蓄積。その結果として、肝線維化、肝硬変、肝不全、急速に進行するアテローム性動脈硬化症、心血管疾患など、複数の臓器へ進行性の障害をもたらす。
カヌマは、欠損または低下している重要な酵素を補充することにより、全身の細胞のライソゾーム内における基質の蓄積を減少させ、LAL-Dの根本的な原因に対処する酵素補充療法。米国、欧州連合、日本およびその他の国で承認されている。
最年長の患者は治療を6年以上受け、ほぼ7歳に
今回の解析では、急速進行性LAL-Dの徴候や症状を呈する乳児を対象とする2つの実施中のカヌマの非盲検試験(VITAL試験およびCL-08試験)において、生存率、および3歳を超えて生存している乳児の臨床プロファイルを評価。VITAL試験の患者(9名)は、治験実施計画書に従って月齢の中央値3.0か月で治療を開始し、最初の2週間は開始用量として週1回0.35mg/kgを投与し、1、3または5mg/kgまで漸増した。CL08試験の患者(10名)は、治験実施計画書に従って月齢の中央値2.8か月で治療を開始して週1回1mg/kgを投与され、3または5mg/kgまで漸増した。
VITAL試験では、9名中6名が月齢12か月まで生存し、CL08試験では10名中9名が月齢12か月まで生存した。両方の試験において、生存した患者は、治験実施計画書で規定された基準に従って週1回3mg/kg以上に増量したという。2017年8月の時点で、最年長の患者はカヌマによる治療を6年以上受け、ほぼ7歳(月齢81か月)になっている。2つの試験の併合データにおいて、生後3年におけるカプランマイヤー法による推定生存率は68%。体重増加および肝疾患や肝機能のバイオマーカーなど、多くの重要なパラメータの改善も認められたという。
2つの試験中に死亡した患者は合計6名で、死因について治験責任医師はカヌマによる治療とは関連性なしとみなしている。VITAL試験では、4名の患者がそれぞれ2.8、2.9、4.3および15か月の時点で死亡。CL08試験では、1名が月齢4.8か月、もう1名が月齢13.8か月で死亡した。また、すべての患者は、治療薬の投与下で1つ以上の有害事象(TEAEs)を発現。7名の患者は、セパリパーゼ アルファに関連すると思われる重篤な有害事象を経験したが、それらすべての事象から回復しており、有害事象による治療中止はなかったとしている。
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