同指針は、診療・処方時に参考となるガイダンスとして位置づけられており、診療ガイドラインとの混同を避けるため、ガイドラインから「指針」に修正。ポリファーマシー対策に関する普遍的な考え方を盛り込み、▽ポリファーマシーの概念▽多剤服用の現状▽薬剤見直しの基本的な考え方・フローチャート▽多剤服用時に注意する有害事象と診断、処方見直しのきっかけ▽多剤服用対策としての高齢者への薬物投与の留意事項▽服薬支援▽多職種・医療機関、地域での協働▽国民的理解の醸成――で構成。65歳以上の高齢患者を対象とし、薬剤師・医師・歯科医師だけでなく、服薬状況や症状の把握、服薬支援を行う看護師や介護職の利用も想定している。
ポリファーマシーの概念では、多剤服用の中でも薬物有害事象のリスク増加、服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態をポリファーマシーと定義。
多剤服用時に注意する有害事象と診断、処方見直しのきっかけでは、ふらつき、記憶障害などの老年症候群を含め、薬剤との関係が疑わしい症状・所見があった場合は処方をチェックし、中止・減量を考慮することを求めている。また、関連職種からの情報提供も有害事象の早期発見に有用としている。
多剤服用対策としての高齢者への薬物投与の留意事項では、高齢者の服用が多い薬剤の使用・併用に関する留意点を記載。催眠鎮静薬・抗不安薬、抗うつ薬、糖尿病治療薬など12種類についての投与量、使用方法に関する注意などを記した。消炎鎮痛剤、抗微生物薬など4種類に関しては、最小限の使用にとどめ、症状によっては非薬物療法の適用も検討すべきとしている。さらに、一般用医薬品、サプリメントなどの健康食品の使用状況を把握することも求めている。
多職種・医療機関、地域での協働では、入院中に薬剤師、医師、歯科医師を中心とした多職種による処方見直しチームを組織して情報の一元化と処方の適正化を行うことやお薬手帳の活用などを盛り込んでいる。
来月9日に開催予定の検討会に報告後、パブリックコメントを募り、4月以降に全国の医療機関に周知する方針だ。