LDLがアテローム形成の要因と考えられてきたが…
秋田県立大学は2月21日、動脈硬化の原因となりうるリポタンパク質「LAC」を発見したと発表した。この研究は、同大学生物資源科学部の小西智一准教授(生物環境科学科)と、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)食品研究部門の高橋陽子博士との共同研究の研究グループによるもの。研究成果は、国際学術誌「PLOS ONE」に掲載された。
画像はリリースより
動脈硬化症の重要な原因のひとつは、脂質と繊維質・細胞の死骸のかたまりであるアテロームの蓄積だ。アテロームの形成は、食生活と密接な関係があるため、血液中で脂質を運搬する種々のリポタンパク質、なかでもLDLがその要因だろうと考えられてきたが、大規模な疫学調査でも確証は得られていなかった。
研究グループはこれまでに、血液中の脂質を改善するさまざまな食品成分の研究を行ってきた。そのなかで、従来から広く認識されてきたリポタンパク質の種類だけでは説明できないデータが得られたという。
リポタンパク質、少なくとも9種類に分類可能か
そこで、従来使われている方法とは異なる分析法で、リポタンパク質の成分を詳しく調べたところ、従来、カイロミクロン、VLDL、LDL、HDLの4種類に大別されていたリポタンパク質は、少なくとも9種類に分類できることを確認。これまで報告されていない「LAC」という種類のリポタンパク質を新たに見出したという。
LACは、アテロームの材料となるコレステロールと血栓を溶かす作用を妨げるタンパク質の複合体で、アテロームの増大に直接関与していることが予想されるという。また、このリポタンパク質は、これまでの分析方法ではHDLの一部として検出されていたと推定している。
今回の研究は、ラットを用いた実験ではあるが、血清中構成物の相同遺伝子はヒトにもあり、ヒトでもおなじリポタンパクがあるものと予想される。現在の健診や疫学調査では、このLACに相当するリポタンパク質は把握されていないことから、研究グループは、「リポタンパク質の種類をそれぞれ区別して簡便に正しく測定する方法を確立することが、リポタンパク質の動脈硬化への効果を確認するために必要」と述べている。
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