PRO協議会に参画するのは、クロエ、ニューイング、パシフィックグローブ、ヒューマの4社。いずれもPROを専業に、製薬企業が行う治験で10年以上のサービス提供実績がある。
日本CRO協会の政策委員会では昨年から、臨床開発の効率化に向けた新たな政策課題として、被験者リクルートメントへの取り組みにも着手しており、賛助会員のクロエをはじめとしたPRO数社に、被験者リクルートメントの現状把握目的でヒアリングを実施したのが協議会設立のきっかけ。ヒアリングの過程で、PROが自発的に集まり、国内の治験環境を向上させるためには、被験者リクルートメントのあり方を検討していく意見交換の場が必要との意見で一致し、自主的に協議会を設置することになった。日本CRO協会はオブザーバーの立場で同協議会に対して、会議場所を提供し、協議会の会合にも出席して自主ガイドライン作成を支援する。
臨床開発は複雑化しており、決められた期間に治験計画の条件に合った被験者を目標数まで組み入れることが難しく、登録した被験者が治験参加後に脱落するという課題がある。そうした中、被験者リクルートメントを目的とした新業態でもあるPROが続々と生まれ、海外治験では活用割合が約3割に上り、国内でも製薬企業やSMOから業務を受注するようになった。
しかし、医師が患者を治験に組み入れるのみならず、治療目的で患者が自らインターネット上から治験情報を入手し、治験に参加するケースが増加。様々な事業者がPROとして新規参入し、業界の広告規制を十分に理解しないまま被験者リクルートメントを行った結果、金銭での誘引や治験アルバイトなど、治験のイメージを悪くするような広告表現がインターネットで散見されるといった問題も指摘されていた。
今後、協議会では3月をメドに法令を遵守し、適切な治験情報を被験者に届けていくための自主ガイドラインの方向性を固める。被験者を組み入れるための科学性や第三者性を担保する項目を盛り込む予定だ。