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「患者模型」用いた教育例を共有-岡山で多職種研究会が発足

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2018年02月16日 AM10:15

日本臨床薬剤師シミュレーション教育研究会が発足し、本格的な活動をスタートさせた。第1回の研究会では、全国各地から薬剤師や薬学部教員、医師、看護師ら85人が参加。患者シミュレータを用いた教育の取り組みなど各施設における実践例を報告し、それぞれの改善点などについて意見を交換した。多職種連携において薬剤師が今まで以上に力を発揮できるようなシミュレーション教育のあり方を討議する場として今後も年1回、全国各地で同研究会を開催する計画だ。

全国から薬剤師や薬学部教員らが参加した

■薬剤師の総合判断力培う

同研究会は、附属病院の薬剤師ら岡山大学のスタッフが中心になって立ち上げたもの。各地のシミュレーション教育事例を共有し、意見交換する場として設けた。薬学教育だけでなく医学や看護学教育の関係者との討論も深め、相互にレベルアップすることを目指している。

1月の研究会では、薬系大学の臨床技能教育実践事例や、大学病院薬剤部における高機能患者シミュレータを用いた急変時対応教育の事例、企業と大学病院が連携した薬剤師向けシナリオベース研修プログラム開発事例などが各地から報告された。、救急対応の4種類のシナリオに基づく実践的なシミュレーションワークショップも行われた。

同研究会の母体になったのが約2年前に発足した岡山臨床薬剤師シミュレーション研究会だ。岡山大学病院の薬剤部が、同院の医師や岡山大学医療教育統合開発センターの協力を得て立ち上げたもの。医師の監修のもと、各領域の具体的な症例ベースのシナリオを薬剤師が作成。その症例をもとに、医師や看護師の協力も得て臨床現場を再現したシミュレーション教育を行っている。

多職種連携において薬剤師が力を発揮するためには、薬歴や検査値の情報だけでなく、病態の時間的変化や合併症などを総合的にアセスメントできる能力が必要になる。疾患の知識と薬物療法の知識を組み合わせて判断し行動できるようにするため、病態変化や薬剤投与の影響を再現できる高機能シミュレータなどを活用した教育を推進することになったという。

これまで病院薬剤師や薬局薬剤師向けに計20回実施した。各地での出張教育、指導者養成教育なども手がけている。

教育を受けた薬剤師からは「救急対応第一発見者となった時に、冷静に症状のアセスメントを行い他職種に症状を伝達できた」「培った病態の知識と薬物療法を組み合わせて、適切な薬物療法や検査実施を提案できるようになった」などの声が上がっている。

今後は、臓器別に各疾患のシナリオ開発を進めるほか、病院、地域医療など様々な場面を想定した病院薬剤師や薬局薬剤師向けシナリオを作成し、全ての薬剤師が参加する研究会へと発展させる予定だ。

また、チーム医療の推進に向けて医師や看護師と共に学べる環境を整備する。現在は歯科医師向けに緊急対応薬剤のシミュレーション教育を実施している。薬剤の知識を共有するだけでなく、顎骨壊死予防や侵襲的処置前の抗血小板薬・抗凝固薬の注意喚起など、地域における歯薬連携の推進に役立てたい考えだ。

 

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