新規前立腺がん患者の約10%が有するハイリスクの予後因子
米ヤンセン社は2月9日、「ザイティガ(R)」(一般名:アビラテロン酢酸エステル)が、第3相ピボタル試験「LATITUDE試験」のサブグループ解析において、内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺がんの日本人患者の全生存期間(OS)と画像上の無増悪生存期間(rPFS)を延長させ、良好な臨床的有効性を示したと発表した。この試験結果は、「全米臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)2018」で発表された。
内分泌療法未治療のハイリスクの因子を有する前立腺がん患者の予後は不良とされる。日本では、ハイリスクの予後因子を有する前立腺がんは、新たに診断される前立腺がんの約10%を占め、アンドロゲン除去療法(ADT)が標準治療とされている。
ザイティガは、アンドロゲン合成酵素のCYP17を選択的に阻害することで抗腫瘍効果を示すCYP17阻害剤。日本国内においては、2014年7月に「去勢抵抗性前立腺癌」を適応として、承認を取得している。前立腺がんにとって重要な精巣、副腎、腫瘍組織自体という3つのアンドロゲン分泌源すべてで、アンドロゲンの産生を阻害する作用を持つ唯一の承認薬。現在、100か国以上で承認されている。
有効性と安全性、全体集団の結果と一貫
LATITUDE試験には、内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺がんと新たに診断された患者1,199名が参加。欧州、アジアパシフィック、中南米、およびカナダの34か国の235施設で行われた。597名がADTと併用してアビラテロン酢酸エステル+低用量プレドニゾンを投与する群(n=597)に、602名がプラセボ+ADTを投与する群(n=602)に無作為に割り付けられた。うち、日本人は70名(アビラテロン群35名、プラセボ群35名)。
サブグループ解析の結果、プラセボ群との比較におけるアビラテロン群のOSのハザード比(HR)は0.635(95%信頼区間[CI]:0.152~2.659)、rPFSのHRは0.219(95%CI:0.086~0.560)だった。有害事象の発現率は両群とも97%。プラセボ群と比較して、アビラテロン群での発現率が10%以上だった有害事象は、高血圧、低カリウム血症、肋骨骨折、血尿、高ビリルビン血症。グレード3および4の有害事象の発現率は、アビラテロン群が66%、ADT群が20%だった。
この結果について、第一著者である千葉県がんセンター泌尿器科部長の深沢賢氏は、「LATITUDE試験において、日本人サブグループにおける有効性と安全性の結果はLATITUDE試験の全体集団の結果と一貫していることが明らかにされた。アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADTは、内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺がんの日本人患者の予後を改善する新しい治療選択肢となりえる」と述べている。
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