sunitinib単剤療法による治療を受けた患者と比較
スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュ社は2月6日、進行または転移性腎細胞がん(mRCC)の一次療法を対象とし、「テセントリク(R)」(一般名:atezolizumab)と「アバスチン(R)」(一般名:bevacizumab)の併用療法について検討した第3相臨床試験「IMmotion151試験」の良好な成績を発表した。同試験の成績は、米国・サンフランシスコで開催される泌尿生殖器腫瘍シンポジウム(Genitourinary Cancers Symposium)で、学会公式プログラムとして発表された。
同試験では、主要評価項目の1つである、PD-L1の発現が認められる患者において、主治医評価による無増悪生存期間(PFS)の延長を示した。併用療法を受けた患者では、sunitinib単剤療法による治療を受けた患者と比較し、病勢進行または死亡のリスクを26%低下させたという(PFS中央値:11.2か月vs7.7か月、ハザード比=0.74、95%信頼区間:0.57-0.96、p=0.02)。もう1つの主要評価項目である全体集団(ITT)における全生存期間(OS)については、数値的に併用群で優れることが考えられるものの、現時点では結論づけるには情報量および観察期間が不十分だとしている。
サブグループ解析・PRO解析、統計的有意性は評価されず
併用による安全性プロファイルは、これまでの各薬剤で認められているものおよび第2相臨床試験「IMmotion150試験」で報告されたものと同様であり、新たな安全性の懸念は認められなかった。治療を受けた全ての患者での治療に関連するグレード3/4の有害事象の発現頻度は、sunitinib単剤療法で54%であったのに対し、併用療法では40%だった。
また、事前に規定していたサブグループの解析結果から、PD-L1の発現が認められる患者では、リスクファクターに基づく全てのサブグループ(低・中・高リスクグループ)において、sunitinib単剤療法よりTECENTRIQ/Avastin併用療法がPFSにおいて数値的に優れることが示唆されたという。さらに、事前に規定していたITT集団での患者報告アウトカム(PRO)の結果において、sunitinib単剤療法に比べ、TECENTRIQ/Avastin併用療法が日々の生活に支障をきたす疾患症状の増悪を明らかに遅らせた(悪化までの期間中央値:11.3か月vs4.3か月、ハザード比=0.56、95%信頼区間:0.46-0.68)。なお、試験デザイン上、これらのサブグループ解析およびPRO解析は、統計的有意性は評価されず、記述的な評価にとどまる。
同試験はテセントリクとアバスチンの併用療法を治療レジメンとして含む試験として、良好な成績を示した2つ目の試験。今回の試験データについては、米FDAをはじめとした世界各国の規制当局と議論予定としている。
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