同会委員長の松原和夫氏(日病薬副会長)は3日、京都市内で開かれた日病薬近畿ブロック会議で「今後、診療報酬の算定でも認定薬剤師や専門薬剤師が算定要件となることが増えていく。会員数の違いから、日病薬の認定への需要は大きく、日本医療薬学会だけでは対応しきれない。今後、がん薬物療法認定薬剤師のステップアップバージョンとして、がん専門薬剤師という名称は日本医療薬学会に移管したため、それに代わるようなものを考えたい」と語った。
日病薬は、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIV感染症の各領域で専門薬剤師と認定薬剤師を認定する制度を設けている。各領域の薬物療法等の知識と技術を使って質の高い業務を実践している人材を「認定薬剤師」として認定。それに加えて指導的役割を果たし、研究を行える能力を持つ人材を「専門薬剤師」として認定する2段階の仕組みになっている。
がん領域でも日病薬は2段階の認定制度を構築していたが、専門薬剤師の認定は09年、日本医療薬学会に移管した。医療法上、広告可能な医療従事者の専門性に関する資格要件が07年に改定され、医師や歯科医師だけでなく薬剤師の専門資格も広告可能になったことを受けたもの。職能団体である日病薬は、広告可能な専門資格の要件の一つである「学術団体として法人格を有していること」に対応できないため、学術団体である日本医療薬学会に移管した。
移管後約8年が経過したが、がん領域でも2段階の認定を求める会員からの声は依然として強かった。日本医療薬学会のがん専門薬剤師の要件は日病薬が以前に構築した要件とは異なっていることや、地方になるほど認定取得のハードルが高くなることなどを課題として指摘する声も挙がっていた。
がん領域でも、指導的役割を果たす薬剤師をもれなく認定できるように、日病薬でも受け皿を設ける必要性が高まっていたという。
近畿ブロック会議ではこのほか、会員からの要望が強かった全国規模の日病薬学術大会の開催は見送る代わりに、別のイベントを企画することが報告された。将来計画委員会で検討し、方針を決めた。
松原氏は「要望は強いが、全国的な学術大会を開催することは相当の無理がある。診療報酬改定年などに日病薬の活動を周知するシンポジウム、セミナーのようなものを試験的に6月の総会の前後に開催したらどうかと検討が進んでいる」と話した。