抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22モノクローナル抗体
ファイザー株式会社は1月19日、「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22モノクローナル抗体「ベスポンサ(R)点滴静注用1mg」(一般名:イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え))の製造販売承認を取得したことを発表した。
ベスポンサは、抗体-薬物複合体(ADC)であり、ほぼすべてのB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)のがん細胞に発現する細胞表面抗原であるCD22を標的とするモノクローナル抗体(mAb)および細胞傷害性化合物で構成されている。ベスポンサがB細胞性悪性腫瘍のCD22抗原と結合すると細胞内に取り込まれ、細胞傷害性を有するカリケアマイシンが放出されて細胞を破壊する。同剤は、単剤で週に1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与するため、外来で投与することも可能だ。
血液学的完全寛解率やPFSが標準化学療法群を上回る
今回の承認取得は、日本も参加した国際共同第3相INO-VATE1022試験、および外国第1/2相試験の結果に基づくもの。INO-VATE1022試験では、再発または難治性のCD22陽性ALLの成人患者326名が登録され、ベスポンサ群と標準化学療法群を比較した。
同試験の結果、血液学的完全寛解率は、ベスポンサ群が標準化学療法群と比較して有意に良好なデータを示したという(80.7%[95%CI,72.1%-87.7%]vs. 29.4%[95%CI,21.0%-38.8%]、P<0.0001)。全生存率(OS)は、ベスポンサ群が標準化学療法群と比較してOSを延長する傾向が認められたが、統計的な有意差は認められなかった(ハザード比(HR):0.770[97.5%CI,0.578-1.026]、片側P=0.0203(中間解析を考慮した最終解析での有意水準0.0104)、中央値7.7か月[95%CI,6.0-9.2]vs.6.7か月[95%CI,4.9-8.3])。2年生存率は、ベスポンサ群で22.6%(95%CI,15.8%-30.0%)、標準化学療法群で9.6%(95%CI,4.8%-16.3%)。また、ベスポンサ群は標準化学療法群との比較で無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した(HR:0.452[97.5%CI,0.336-0.609]、片側P<0.0001、中央値5.0か月[95%CI,3.7-5.6]vs.1.8か月[95%CI,1.5-2.2])。
血液学的完全寛解達成患者のMRD陰性率は、ベスポンサ群で78.4%(95%CI,68.4%-86.5%)、標準化学療法群で28.1%(95%CI,13.7%-46.7%)だったという(片側P<0.0001)。血液学的完全寛解達成患者の寛解持続期間の中央値は、ベスポンサ群で5.4か月(95%CI,4.2-8.0)、標準化学療法群で3.5か月(95%CI,2.9-6.6)だった(HR:0.502[95%CI,0.303-0.832]片側P=0.0031)。造血幹細胞移植へ進んだ患者の割合は、ベスポンサ群が標準化学療法群よりも高いことが示されたとしている(43.3%vs.11.1%、P<0.0001)。
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