■切れ目ない連携構築も必要に
中央社会保険医療協議会は19日、千葉市内で公聴会を開き、2018年度診療報酬改定に対する意見を医療関係者、保険者、患者など10人から聞いた。薬剤師を代表して、保険薬局の立場から意見を述べた高橋眞生氏(カネマタ薬局、元・千葉県薬剤師会常任理事)は、かかりつけ薬剤師指導料について、「制度の正しい理解と浸透」を要望した。また、在宅業務の適切な評価や、病棟薬剤師の業務の評価を求めたほか、後発品の新たな政府目標(20年9月までに数量シェア80%以上)達成に向けて、「薬局だけでなく、行政や保険者の協力が必要」と訴えた。
高橋氏は、かかりつけ薬剤師指導料について、「患者さんのために今まで当たり前にやってきたことを評価してもらったと思っている」とした上で、「地域の人を薬を通して、生まれてから亡くなるまで、予防から治療、療養までを見ていくことが薬剤師の役目」と強調。「この制度の正しい理解と浸透をお願いしたい」と述べた。
また、医療機関と保険薬局が連携し、患者の入退院時の服薬状況を共有することによって、「副作用の早期発見、重篤化防止などを行っていくことも重要な課題」と指摘し、「入院から在宅へ、在宅から入院へ、薬を通して切れ目のない連携を構築していく必要がある」と強調。
高橋氏の薬局では、20年前から在宅訪問を実施し、訪問医師と連携してポリファーマシーなどに対応している実績を踏まえ、「在宅の適切な評価と様々な病棟薬剤師の業務の評価をしていただきたい」と語った。
新たな政府目標を踏まえ、要件を見直す方針が盛り込まれている「後発医薬品調剤体制加算」については、「80%に近づこうとしているが、なかなか届かない」との現状を示し、ある店舗では、後発品の在庫数が「一般的な病院の在庫数よりもはるかに多い2500品目を超えた」ことを紹介。在庫数が多いことによる「調剤過誤等のリスク管理のために負担が増えている」とした。
目標達成に向けては、「薬局だけでなく、行政や保険者の協力が必要で、啓発運動と共に、連携してやっていきたい」と語った。
高橋氏は、地域包括ケアにおける薬剤師の役割についても言及。「薬剤師に関しては、まだまだ活躍の場がないのが現状」としつつも、「高齢者の大半が薬剤を服用して元気に暮らしている。その薬剤情報を検証し、適切な供給をするためにも、薬剤師の地域包括ケアへの参画は必須」と強調。
その上で、「医師、歯科医師、薬剤師などがチームとして療養に当たる。そこに成果があれば、そのチームを評価するということも地域包括ケアを進めていく上で大事」と指摘した。