ウェアラブル心拍センサとフィルム状導電素材を採用
東北大学は1月9日、「産後うつ」の研究向けに、新たな妊婦用のスマートテキスタイルを開発したと発表した。これは、東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)予防医学・疫学部門災害精神医学分野の富田博秋教授(メンタルヘルスケア推進室長、本務:災害科学国際研究所)のグループと、ユニオンツール株式会社、東洋紡株式会社の共同開発によるもの。
画像はリリースより
日常生活における心拍などバイタル情報の取得には、電極を装着する必要があるが、従来使用されていた体に貼り付けるタイプの電極はべたつき感があるなど、装着感に問題があった。今回、富田教授らは、ユニオンツールのウェアラブル心拍センサ「myBeat」と東洋紡のフィルム状導電素材「COCOMI(R)」を使い、バイタル情報を取得できるスマートテキスタイルを新たに開発したという。
開発にあたっては妊婦の意見も取り入れ、着用しても圧迫感が小さく、着脱しやすいデザインを採用し、自然な装着感と測定精度を両立するスマートテキスタイルに設計。COCOMIが心臓から発生する微弱な電気信号を体表面でとらえ、myBeatがその信号を外部に発信することなく、心拍情報として機器内に記録する。
産後うつの早期発見や発症・予後の予測に期待
東洋紡のCOCOMIは、ウエアラブルデバイス用の電極・配線材向けのフィルム状導電素材。薄く伸縮性があり、体の動きに追随し、電極と配線を継ぎ目なく一体化できるという。また、COCOMIを使用した配線は電気抵抗値が低く、より精度の高い生体情報の収集が可能になる。現在は、ユニオンツールと共同でCOCOMIを使った眠気検知システムを開発し、実証実験を行っている。
産後うつや周産期のストレスに自身や周囲の人が気付いて早めに対応することは難しく、心拍測定に基づいた自律神経系計測は、ストレスやうつ状態の客観的評価の一助となる有効な手段として期待される。東北大学では、産後うつや周産期のストレスを客観的に評価する技術の開発を行うことで、産後うつの早期発見や発症・予後の予測に繋げることを目指すとしている。
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