CD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導抗体製剤
アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社とアステラス製薬株式会社は1月9日、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)(開発コード:AMG103)について、再発または難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として日本における製造販売承認申請を行ったと発表した。
ブリナツモマブは、CD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導(BiTE(R))抗体製剤。米国ではFDAより画期的治療薬および優先審査の指定を受け、成人および小児の再発または難治性のB前駆細胞性ALLの治療薬として承認されている。EUでは、2015年11月に成人の再発または難治性のフィラデルフィア染色体陰性(Ph-)B前駆細胞性ALLの治療薬として条件付き承認を取得。国内では、2017年9月29日に希少疾病用医薬品の指定を受けている。
国内におけるALLの患者数は約5,000人と報告されており、このうち、再発または難治性のALL患者は年間あたり約670人と推定されている。成人および小児の再発または難治性のALL患者に対する治療選択肢は限られており、同様の作用機序を持ついくつかの薬剤に依存する上、その有効性は限定的だ。
P3試験の中間解析で標準化学療法群を上回るOS確認
今回の製造販売承認申請は、海外第3相ランダム化試験(TOWER試験)を含む複数の海外試験および国内第1b/2相試験結果に基づくもの。TOWER試験は、405例の再発または難治性のPh-B前駆細胞性成人ALL患者を対象にブリナツモマブと標準化学療法の有効性を検討した第3相ランダム化試験であり、数回の再発を経験している患者など治療が困難な患者集団が登録された。
ブリナツモマブ投与群には、同種造血幹細胞移植(alloHSCT)実施後の再発患者が35%含まれ、初回寛解持続期間が12か月以上の初回再発患者は除外された。患者は2:1の割合で、ブリナツモマブ(271例)、または4種類の標準化学療法レジメンから治験責任医師が選択したいずれかひとつのレジメン(134例)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は全生存期間。
同試験は、事前に規定した中間解析でブリナツモマブ投与群の全生存期間が標準化学療法群を上回ったことから、データモニタリング委員会の提言に基づき早期中止された。