厚生労働省は2017年12月22日、高齢者が多種類の医薬品を服用するポリファーマシーを是正するための「高齢者医薬品適正使用ガイドライン」の骨子案を、高齢者医薬品適正使用検討会に示した。75歳以上の高齢者を対象に、薬剤師・医師などの医療者が減薬・処方変更する場合に注意すべきこと、漢方を含む一般用医薬品、サプリメントに関連する有害事象の全般的な注意などを盛り込んだ。今月下旬に開催を予定している作業部会で改めて骨子案の内容を議論した上で、2018年度内をメドにガイドラインをまとめる。
骨子案は、▽ポリファーマシーの概念▽多剤服用の現状▽薬剤見直しの基本的な考え方・フローチャート▽多剤服用時に注意する有害事象と診断、処方見直しのきっかけ▽多剤服用対策の留意事項▽服薬支援▽多職種・医療機関、地域を越えた協働――で構成。75歳以上の高齢者の薬物療法適正化を目的に、薬剤師・医師などの医療者が利用することを想定している。
多剤服用対策の留意事項では、減薬、処方変更する場合に注意すべきこと、高齢者に多く投与されている薬剤の種類ごとに使用・併用に関する留意点などを提示。漢方を含む一般薬、サプリメントに関連する有害事象の全般的な注意も記載した。
多職種・医療機関、地域を超えた協働については、多職種との連携における原則を記載し、医師を中心とした処方見直し検討チームの考え方、患者の経過観察、フォローアップ、処方・処方見直しのフィードバックなどを盛り込んだ。
骨子案について、島田光明構成員(日本薬剤師会常務理事)は、薬剤見直しの基本的な考え方・フローチャートに言及。「処方見直しに関する一般原則では、患者の実際の服用状況も記載した方がいいのではないか」と述べた。
松本純一構成員(日本医師会常任理事)は、処方見直しのタイミングについて「病院薬剤師と薬局の薬剤師の連携がうまくいってないので、両者の連携の必要性を盛り込んでほしい」と注文。勝又浜子構成員(日本看護協会常任理事)は多職種の協働に関して、「訪問看護師は残薬のチェックなどにかなりの時間がかかる。看護師がSOSを出せば、薬剤師が残薬の整理を行うなど、多職種で服薬管理を行う視点も追記してほしい」と要望した。