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発達早期の泣き声のバリエーションで乳児期の言語学習発達を予測できる可能性-京大

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2018年01月04日 AM11:30

新生児期から豊かなメロディーの特性を示す乳児の「泣き声」

京都大学は2017年12月25日、出生予定日に達した早期産児と、出生後まもない満期産新生児の自発的な泣き声の特性を調べ、在胎32~37週未満で出生した早産児は満期産児よりも周産期の泣き声のメロディーのバリエーションが大きく、1歳半時点の言語・認知発達が良好という新たな事実を発見したと発表した。この研究は、同大学医学部附属病院の河井昌彦教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Frontiers in Psychology」に掲載された。

乳児の泣き声は、新生児期から豊かなメロディーの特性(ピッチの時間変動)を示すことが報告されている。また、生後、泣き声のメロディーのバリエーションが増加していくことは、言語を学習する上で重要であることが指摘されてきた。早産児の泣き声は、出産予定日の時期に満期産児に比べてピッチが高いことが、同研究グループにより明らかになっている。しかし、早産での出生経験が周産期の泣き声のメロディー特性にどのような影響を与えるのか、この時期の泣き声の特性が乳児期以降の言語・認知発達とどのように関係するのかについては、不明だった。

周産期の泣き声のピッチ変動が大きいほど、1歳半時点での言語・認知発達早く

研究グループは、予定日まで成長した早産児77名(36名は在胎32週未満で出生、41名は32~37週未満で出生)と生後1週間前後の満期産新生児30名を対象に、授乳前の自発的な泣き声をICレコーダーで収集し、音響解析を実施。メロディーの特性(ピッチの変動、メロディーの複雑さ)に注目して、泣き声を評価した。その後、それぞれの児が1歳半に達した時点で言語や認知発達の評価を行い、泣き声の特性との関連を調べたという。


画像はリリースより

その結果、「予定日前後の時点では、在胎32~37週未満で出生した早産児の泣き声は、満期産新生児に比べてピッチの変動が大きく、メロディーの複雑さの度合いも高いこと」「周産期の泣き声のピッチの高さ自体は、1歳半時点の言語・認知発達と関係しないこと」「周産期の泣き声のピッチの変動が大きい児ほど、1歳半時点で言語・認知発達が早く、とくに発話できる語彙数が多いこと」が明らかになったという。

現在、日本では早産児・低出生体重児の出生割合が増加の一途をたどっており、科学的根拠に基づく早期からの発達評価、診断、支援法の開発が臨床現場で強く求められている。研究グループは、「周産期の泣き声の特性、メロディーの豊かさの評価は、早産児を含むリスク児の生後早期の発達や、早期支援の効果を評価するための簡便な指標のひとつとして、臨床現場での応用が強く期待される」と述べている。

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