■病薬連携人材育成で新事業
医薬・生活衛生局の予算案は、前年度比3.2%の増額を確保。薬剤師・薬局関連予算も増額の3億1100万円を確保し、患者のための薬局ビジョン推進事業費には2億0700万円を充てる。2016年度に引き続き、薬剤師・薬局が「かかりつけ薬剤師・薬局」として地域包括ケアに貢献できるようテーマ別のモデル事業を実施するが、新たに薬局薬剤師と病院薬剤師の連携等の地域連携を担う人材育成事業を追加する。好事例の横展開を目的に地域ブロックごとの協議会開催を支援する。
革新的な医薬品等の迅速な実用化には4億6200万円を充て、新規で実臨床での各種データの活用による革新的医薬品の早期実用化に5200万円を計上。リアルワールドデータを活用した効率的な新薬開発に資する開発者向けガイドラインを作る。2018年4月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に設置予定のレギュラトリーサイエンスセンターでガイドライン策定業務を行うため、PMDAの体制強化費用として盛り込んだ。
新たに薬剤耐性感染症(ARI)の未承認薬迅速実用化に1900万円を確保。20年目標の抗菌薬の国際共通臨床評価ガイドラインの策定に向け、欧米との議論を本格化すると共に、実用化スキームの導入や戦略相談の優先審査の実施体制を整備する。
医薬品等の安全対策の強化、きめ細かい対応には8億3000万円を計上。医療情報データベース(MID-NET)の利活用促進に増額の4億5600万円を確保したほか、17年度補正予算でもMID-NETの機能強化に1億2600億円を充て、データベースの規模拡大のため拠点病院数を増やす。
また、新規で高齢者の薬物療法における安全対策の推進に向けたガイドライン作成経費として2000万円を計上。別途、17年度補正予算で1億8300万円を確保し、国のナショナルデータベース(NDB)から得られた副作用報告などのデータを解析し、高齢者の薬物療法の実態把握や安全対策を進める。
さらに、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が流通したことを受け、医薬品販売業者に対する指導の充実・強化に新規で1400万円を計上したほか、薬物乱用対策の推進に増額の3億8200万円を盛り込み、アジアのドラッグハブとされる最重要拠点の香港に職員を長期派遣し、情報収集・分析を行って日本の薬物対策をさらに推進する。