合同開催の厚生科学審議会、薬事・食品衛生審議会にて
第32回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会が12月22日、厚生労働省内で合同開催され、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に関する国民の向けの情報提供パンフレットの改定素案について、出席委員の意見を踏まえて新たな素案を作成する方針となった。また、新たなパンフレットの広報については、既存の厚労省HPや地方自治体、接種を行う医師を通じたチャネル以外にも、多方面からの情報提供を検討することになった。
※12月25日公開の詳報記事はこちら⇒子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)、副反応実態など追加しパンフレット改訂へ-厚労省
撮影:村上和巳
この日、事務局は被接種者・保護者向けの一般的な情報提供と接種直前の情報提供、医療従事者向け情報提供の3つのパンフレットの素案を提出。いずれも国内でのワクチンによる効果推計、副反応疑い報告の実態、副反応時の救済制度の実際とその利用状況などの詳細な情報が付け加えられた。
接種後に報告されている“多様な症状”との因果関係には否定的な表現
素案には、接種勧奨中止の原因となった接種後の疼痛、しびれなどの慢性的な症状について、「機能性身体症状であると考えられています」と記述。因果関係についても「『接種後1か月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい』と専門家によって評価されています」とし、「HPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています」と否定的な表現を新たに盛り込んだ。
委員からは素案を肯定的に評価する声が多数を占めたものの、「被接種者はおおよそ中学生であり、保護者との理解能力には差があることから、両者を分けたパンフレット作成が必要ではないか」「被接種者・保護者向けパンフレット素案は、一般の方がより理解しやすい工夫が必要」などの意見もあり、委員からの追加意見などを年内中に収集し、新たな素案を作成することになった。
また、関連学会や各地医師会会員、養護教諭などに対して幅広く情報提供を進めるべきとの意見が相次いだ。さらに今回の素案に基づく情報提供の成果を効果測定すべきとの意見もあり、今後これらについても検討する見通しとなった。