抜本改革の骨子は、長期品薬価と新薬創出等加算の抜本的な見直しを大きく打ち出した。長期品は、後発品の上市10年後から薬価を段階的に引き下げ、後発品薬価と揃える。後発品置換え率が80%以上の長期品は、6年かけて後発品の価格に揃え、先発品メーカーは市場撤退を判断できる。一方、後発品に置換えが難しい長期品は、10年かけて後発品の1.5倍まで引き下げ、後発品と一定の価格差を認める。
新薬創出等加算は、対象を革新性と有用性のある品目に限る仕組みに抜本的に見直す。平均乖離率以下の要件は廃止し、新規作用機序品や画期性加算などの加算適用品が対象となる。さらに、製薬企業の国内試験実施数、過去5年の新薬収載実績などを指標に、新薬開発への取り組み状況に応じてポイント化。加算にメリハリをつけ、点数の高い順に上位25%の企業が薬価を維持でき、それ以外のほとんどの企業は改定前薬価の0.9がけとなる。企業指標の影響は次回以降の改定への見直しを検討する。加算額には上限を設ける。
そのほか、新薬のイノベーション評価のルールも見直し、原価計算方式の営業利益補正率による加算を価格全体に行うと共に、製品総原価の開示できる部分の割合に応じて加算額を引き上げる。効能追加に伴う市場拡大に対応するため、年4回の新薬収載の機会に再算定を行う品目は350億円超を対象とし、外国平均価格調整における米国価格は企業の希望小売価格ではなく、公的医療保険制度の採用価格表を参照する。
さらに、現行制度で三つに集約されている後発品の価格帯については、上市から12年が経過したものは1価格帯を原則とし、基礎的医薬品の対象に生薬や軟膏基剤などを追加する。毎年薬価改定は全医薬品卸から調査対象を抽出し全品目の薬価調査を行い、対象品目の範囲は20年度に決め、21年度から実施する。