肥大型心筋症、筋力低下、知能障害が特徴の指定難病
金沢大学は12月19日、心臓病変の程度の異なるダノン病の双生児から作成した人工多能性幹細胞(iPS細胞)から誘導した心筋細胞を用いて、臨床上の心臓病変の有無にかかわらず、ダノン病特異的な病態を呈する心筋細胞と正常な心筋細胞のそれぞれを作製できることを明らかにしたと発表した。
この研究は、同大医薬保健研究域医学系循環器病態内科学の山岸正和教授、川尻剛照准教授、吉田昌平助教、附属病院循環器内科の中西千明助教ら、医薬保健研究域医学系小児科学の谷内江昭宏教授および太田邦雄准教授らの研究グループによるもの。研究成果は国際心臓研究学会機関誌「Journal of Molecular and Cellular Cardiology」に掲載されている。
肥大型心筋症、筋力低下、知能障害を特徴とするダノン病は、遺伝子「LAMP-2」の変異を原因とする指定難病。治療法は確立されていない。
X染色体の不活性化が原因
今回、研究グループは、1名のみダノン病を発症している双生児それぞれの血液からiPS細胞を作製し、心筋細胞を誘導。その結果、ダノン病発症の有無にかかわらず、ダノン病に特徴的な異常を持つ細胞と、正常な細胞の両方の作製に成功した。さらに、その原因がX染色体の不活性化にあることを突き止めたという。この研究成果によって、異常な細胞と正常な細胞の双方の分析からダノン病発症のメカニズム解明が期待できるとしている。
画像はリリースより
今回の研究は、遺伝子異常による疾患を持つ女性に対する適切なX染色体の不活性化を誘導する治療の可能性、自己のiPS細胞を用いた治療の可能性を見出すものだ、と研究グループは述べている。
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