■慶大が研究報告
抗癌剤と免疫抑制剤のバイアル製剤に単回使用バイアルを複数回使用するDVOを実施した結果、医療費抑制額が560億円に上ることが、慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授の研究で明らかになった。抗癌剤の市場規模が拡大する中、抗癌剤などバイアル製剤の年間廃棄額は738億円に達した。これに医療機関で使用する閉鎖式接続器具(CSTD)のコストと診療報酬の無菌製剤処理料を加味して医療費抑制額を算出した。岩本氏は「DVO推進は医療のムダ削減に一層重要性の増す政策」と強調する一方、「拙速に進められることも問題」と指摘。十分な安全性を担保するルールの明確化を提言した。
研究報告は、2016年7月から今年6月における抗癌剤、免疫調節剤のバイアル製剤市場をもとに推計したもの。これらの市場規模は計1兆3971億円になった。抗癌剤の成長が牽引し、医薬品市場の13.4%を占めるまで拡大した格好だ。