高齢者の20%以上が罹患との報告もある睡眠時無呼吸症候群
徳島大学は12月13日、患者に接触することなく録音した睡眠音からいびきを抽出し、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングを行う新規システムを開発したと発表した。この研究は同大大学院社会産業理工学研究部理工学域の榎本崇宏講師らと、吉野川医療センター耳鼻咽喉科と、阿南共栄病院耳鼻咽喉科との共同研究によるもの。
画像はリリースより
睡眠障害の代表的な疾患であるSASは、大きないびきが特徴。加齢とともに増加し、生活習慣病のリスクを増加させるといわれている。
高齢者では20%以上がSASとの報告があり、また近年では、認知症患者の多くにSASがあることが判明。初期の段階でSASの診断、治療を行うことが求められている。
ニューラルネットワークに基づく新たな有音区間推定法
SASの診断では、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査が行われているが、一晩入院し、複数のセンサを装着する必要があるため、拘束感が強く、患者負担が大きい。そこで研究グループは、非接触マイクロフォンを用いて、患者に接触することなく、録音した睡眠時に発生する音(睡眠音)からいびきを抽出し、SASスクリーニングを行う新規システムの開発を行ってきたという。
その手法は、睡眠音から有音区間を推定し、有音区間からいびきを抽出、いびきの音響解析によるSASスクリーニングを行うという、3ステップからなる。研究グループは最近、背景ノイズに埋もれている呼吸信号の検出を目指して、ニューラルネットワークに基づく、新たな有音区間推定法を開発したという。
今後、在宅でも使用可能な非接触の病気検査機器を製品化することができれば、健康寿命の延伸、生活の質の向上につながると期待される。研究グループは、今後も企業などとの医工連携を通じて、睡眠音だけではなく、腸音、嚥下音など、新たな生体音響研究を展開していく予定としている。
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・徳島大学 研究成果