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【薬価部会】新薬加算、企業要件を緩和-薬価抜本改革で修正案

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2017年12月15日 AM10:30


■委員反発で紛糾も了承

厚生労働省は13日、薬価制度の抜本改革案を見直した修正案を中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示した。業界団体の反発を受け、新薬創出等加算の対象について新規作用機序品の1番手が収載された後、1年以内の3番手まで新薬として評価する当初案を3年以内に緩和する。新薬開発の取り組みに応じて加算額を決める企業要件も、ポイントの高い上位5%未満を上位25%程度まで広げる。委員からは「唐突だ」「後退した案」などと反発が相次いで議論が紛糾したが、最終的には厚労省から対応案が示され、了承された。

厚労省が示した新薬創出等加算の対象範囲を限定する改革案に対し、日米欧の製薬団体は意見陳述で反発。こうした主張を考慮し、品目要件について1番手と同時期に収載される医薬品は2番手、3番手でも同等の研究開発リスクが生じ、1番手から3年以内に収載することは困難と判断。

当初、新規作用機序品の加算を革新性・有用性の基準を満たす1番手に適用し、1年以内に収載された2番手、3番手まで対象とする案だったが、これを3年以内に緩和。また、1番手が加算適用品目でなくても革新性等が同程度と認められた品目であれば加算対象に追加する。

業界団体が「わずか5%の企業しか対象品目の薬価が維持されない」と主張し、再考を求めていた企業要件についても、かえって新薬の開発意欲を損ねるとの懸念から、薬価を維持できる企業の範囲を上位5%未満から上位25%程度に広げる。

厚労省によると、修正案により加算対象は当初の520品目から約20品目程度増え、薬価が維持される企業数も4社以下から15~20社に増える。

さらに、加算対象外の品目について、加算品目を比較薬に類似薬効比較方式で算定する場合、一律に累積加算分を控除する案を見直し、新規性に乏しい同方式IIの薬のみに適用する。同方式Iで算定された薬は、2020年度改定まで現行制度通りとし、次期改定時までに加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定の見直しを検討するとした。

修正案に対し、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「企業指標が上位5%未満から25%程度になり、随分緩めた印象」と不快感を示し、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「腰砕けと言わざるを得ない後退案。説明がないまま唐突に修正案が出てくるのは遺憾だ」と反発した。

厚労省保険局の中山智紀薬剤管理官は、長期収載品依存からの脱却や年4回の迅速な再算定、毎年改定の実施など抜本改革の柱は一切修正しないことを強調した上で、「イノベーションの推進も大きな柱となっている。そこに照らして当初案は、加算の部分に少し不十分なところがあった」と説明し、理解を求めた。

ただ、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「唐突に修正案が出てくるのは理解しかねる。水面下で調整し、追認してくれというやり方には憤りを感じる」と批判を強め、類似薬効比較方式で加算対象品目を比較薬とすることを「到底受け入れられない」と反対。松本委員も「上位25%“程度”では対象が広がりかねない」と修正を要求し、議論が紛糾したが、厚労省から企業指標の範囲に上限を決めること、類似薬効比較方式について20年度改定までの暫定措置として改めて検討する対応案が示され、了承された。

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