IL-23を選択的に阻害する開発中の化合物
米アッヴィは12月4日、中等症から重症の局面型乾癬の治療薬risankizumab(150mg)を検討した4つ目の第3相臨床試験「IMMhance試験」において、すべての主要評価項目および重要な副次的評価項目を達成したと発表した。
Risankizumabは、インターロイキン23(IL-23)のp19サブユニットに結合してIL-23を選択的に阻害するよう設計された開発中の化合物。IL-23は炎症過程に関わる重要なサイトカインで、数多くの免疫関連疾患に関連していると考えられている。現在、乾癬を対象とした第3相試験が進行中であり、このほか、クローン病、関節症性乾癬の治療薬としての開発も進められている。さらに、潰瘍性大腸炎を対象としてrisankizumabを評価する試験も今後予定されている。
IMMhance試験は進行中の第3相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験。中等症~重症の局面型性乾癬の成人患者を対象に、risankizumabの安全性および有効性をプラセボとの比較にて評価するようデザインされた。第1フェーズでは、4:1の比でrisankizumab(150mg)群またはプラセボ群に無作為割付けがなされ、risankizumab群の患者には0週、4週目、以後12週間毎に皮下投与を実施。主要評価項目は、プラセボと比較した16週時におけるPASIスコアの少なくとも90%の改善(PASI 90)の達成率および16週時における静的総合評価(sPGA)0/1の達成率だった。
第2フェーズ(投与28週~104週)では、最初にrisankizumab群に割り付けられ28週時にsPGA 0/1を達成した患者を、risankizumab群(投与継続)またはプラセボ群(投与中止)に再無作為化。32週時以降、再発[sPGAスコアが中等症~重症(≧3)と定義]がみられた患者には直ちにrisankizumabを再投与し、さらに4週間後、以後12週間毎に投与を行った。投与28週~104週の主要評価項目は、1年時のsPGA 0/1だった。
投与を受けた約半数がPASI 100を達成
16週時点では、risankizumab投与群の73%がPASI 90を達成したのに対し、プラセボ投与群での達成率は2%。また、risankizumab投与群の84%がsPGA 0/1を達成したのに対し、プラセボ群での達成率は7%だった。また、risankizumab投与群のほぼ半数(47%)がPASI 100を達成したのに対し、プラセボ投与群でのPASI100達成率は1%。さらに、risankizumab投与群の46%がsPGA 0を達成したのに対し、プラセボ投与群のsPGA達成率は1%で、すべての主要評価項目および重要な副次評価項目は、プラセボに対して有意に(p<0.001)達成されたとしている。同試験の第2フェーズにおけるrisankizumab投与継続群では、1年時に患者の87%がsPGA 0/1を維持していたのに対し、投与中止群の患者での維持率は61%だった(p<0.001)。
なお、この第3相試験は、アッヴィとベーリンガーインゲルハイム社の提携のもとで実施。アッヴィは今後、世界規模でrisankizumabの開発および販売を行うとし、承認申請準備を進めるにあたり、この臨床試験プログラムで得られた新たなデータを科学界や規制当局に報告するとしている。
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・アッヴィ合同会社 プレスリリース