接触皮膚炎などをおこすかを評価する皮膚感作性物質試験
東北大学は12月8日、実験動物を使用しない、培養細胞を用いた新規皮膚感作性物質検出試験法である「IL-8 Luc法」を開発し、経済協力開発機構(OECD)が定める国際的な皮膚感作性物質試験法として承認されたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科皮膚科学分野の相場節也教授らの研究グループによるものである。
画像はリリースより
ヒトの肌に直接触れる化粧品や医薬品に含まれる化学物質が、アレルギー性の接触皮膚炎などをおこすか否かを正確に評価する「皮膚感作性物質試験」は、商品を販売する企業にとっても、それを使う消費者にとっても極めて重要な問題だ。
従来、その評価は動物実験により行われていたが、近年の動物愛護の高まりにともない欧州で始まった化粧品開発における動物実験廃止の政策により、動物を使わない感作性試験法の開発が化粧品業界において喫緊の課題となっている。
他の2つの試験法より簡便性・迅速性に優れるIL-8 Luc法
相場教授ら研究グループは、これまで接触皮膚炎感作のメカニズムを研究するなかで、培養細胞を用いた動物実験に依存しない感作物質試験法である「IL-8 Luc法」の開発に成功。この試験法は、アレルギー反応を検出するための人工的な遺伝子を持つ培養細胞を使った感作物質試験法で、アレルギー反応を誘導する遺伝子にホタルの発光遺伝子を連結し、発光反応を利用してアレルギー反応を引き起こす度合いを評価するという。
今回、日本動物実験代替法評価センター、産業技術総合研究所、食品薬品安全センター、住友化学、神戸大学などの協力のもとに試験法の妥当性について検証をおこない、2017年の10月にOECDによりテストガイドラインにおける国際的試験法のひとつに認められた。テストガイドラインには、他にh-CLAT 法およびU-SENS法という2つの試験法が含まれているが、同誌検法は、他の2つの試験法より簡便性および迅速性に優れているという。
この試験法がOECDに採択されたことにより、国内外の化粧品・医薬品開発分野において 標準的な試験法として用いられると期待され、今後、簡便・迅速な試験法として化粧品や医薬品の安全性確保の試験に貢献することが予想される、と研究グループは述べている。
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