OS中央値は3~4年といわれるマントル細胞リンパ腫
米ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメントは12月9日、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤「イムブルビカ(R)」(一般名:イブルチニブ)を投与した再発または難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者370例の併合解析の結果、有効性および忍容性のいずれについても、イムブルビカを早期に投与した患者で臨床成績が最も良好であることが示されたと発表した。この結果は、第59回米国血液学会(ASH)年次総会にて発表された。
MCLはB細胞性の非ホジキンリンパ腫(NHL)のサブタイプのひとつ。米国で毎年新たにNHLと診断される症例の約6%(約4,200例)を占めるとされる。MCLはリンパ節腫脹が初めに認められることが多く、骨髄や肝臓といった他の組織に広がる場合がある。MCL患者の全生存期間の中央値は3~4年と言われている。
イムブルビカは、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピーに指定された後に米国で承認された最初の治療薬のひとつ。B細胞の成熟と生存を制御する細胞内シグナル伝達に関与する重要なタンパク質であるBTKを標的にすることで腫瘍細胞の生存シグナルを阻害し、増殖を抑制する。同剤は、ヤンセン・バイオテックとアッヴィ社の一部であるファーマサイクリックス社が共同開発され、世界中で9万例を超える患者の治療に使用されている。
3.5年時フォローアップ、PFS中央値は全体で13か月
今回の併合解析は、第2相試験および第3相試験の結果と、これらの試験の長期継続試験であるCAN3001試験に組み入れた87例の追加フォローアップの結果を用いて行われた。イムブルビカを3年以上投与した患者は83例、4年以上投与した患者は40例だった。
3.5年(41か月)時フォローアップでは、無憎悪生存期間(PFS)の中央値は全体で13か月であり、前治療歴が1レジメンの患者では33.6か月だった。完全寛解(CR)に達した患者のPFSの中央値は46.2か月であり、奏効期間は55.7か月だった。また、ベースラインのリスク因子が良好な患者では3年を超えて同剤投与を継続する割合が高いという結果が得られた。全体では、2年時、3年時および5年時でそれぞれ患者の53%、45%および37%が生存しており、全生存期間(OS)の中央値は26.7か月だった。
グレード3以上の有害事象(TEAE)は患者の79.7%で発現したが、1年経過後は新たな有害事象の発現が減少した。グレード3/4のTEAEの新規発現は、同剤を早期に投与した患者ほど低頻度だったという。各試験では複数の心臓リスク因子を有する患者の組み入れを認めているが、グレード3/4の心房細動が発現した患者のうち、投与中止に至った患者はおらず、減量に至った患者は1%未満だったとしている。
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・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース