分子標的治療薬の効果予測に有用な指標とされるctDNA変異解析
シスメックス株式会社は12月11日、BEAMing技術を用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異を解析する「OncoBEAM(TM)受託アッセイサービス(研究用)」について、従来のドイツ、アメリカに加えて、新たに神戸医療産業都市(ポートアイランド)内「シスメックスIMPラボラトリー」における提供を開始すると発表した。
近年、がんなどの診断や治療法選択において、腫瘍など組織の一部を採取して行う生体検査(バイオプシー)の代替として、血液・体液などを用いたリキッドバイオプシーによる低侵襲な検査のニーズが高まっている。リキッドバイオプシーの中でも、ctDNA変異解析は、分子標的治療薬の効果予測や薬剤耐性のモニタリングなどに有用な指標とされており、臨床有用性の早期確立と臨床検査としての実用化に期待が寄せられている。
シスメックスは、個別化医療に向けたリキッドバイオプシー技術の開発に注力しており、2013年に関連技術を有するアイノスティクス社(現シスメックス アイノスティクス)を子会社化。シスメックス アイノスティクスは、これまでBEAMing技術を用いた血液中に微量に存在するctDNAの検出について、多数の研究機関、大学、医療機関との臨床研究や、製薬企業との分子標的治療薬開発の臨床試験などを経て多くの臨床エビデンスを蓄積してきた。BEAMing技術は、Digital PCR(高感度PCR)技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法。これにより、血中の微量遺伝子変異を高感度に検出することができるという。
ドイツ・アメリカに加え日本でもサービス開始
日本国内の研究機関や大学に対しては、同社のドイツ、アメリカ拠点にて「OncoBEAM受託アッセイサービス」を提供してきた。一方で、検体輸送の簡便化や結果報告の時間短縮などのニーズから日本国内における受託アッセイサービス体制の構築が望まれていた。
そこで今回シスメックスは、神戸医療産業都市(ポートアイランド)に位置する伊藤忠メディカルプラザ(IMP)内の「シスメックスIMPラボラトリー」において、シスメックス アイノスティクスとの連携のもと、研究機関、大学、医療機関、製薬企業などを対象に、BEAMing技術を用いたctDNA変異解析「OncoBEAM受託アッセイサービス(研究用)」の提供を12月8日より開始。これにより、国内の顧客への検体輸送にかかる負担軽減と、より迅速な結果報告が可能になるという。
まずは、近年、分子標的治療薬開発が活発化する肺がん領域で、主要バイオマーカーとして注目されているEGFR遺伝子変異を対象項目としてサービスを開始し、今後、順次項目拡大を予定。また、シスメックスグループとしてのグローバルな受託アッセイサービス提供体制の構築により、今後、グローバルでBEAMing技術を用いたctDNA変異解析の臨床エビデンスをさらに蓄積し、リキッドバイオプシー検査の臨床検査としての実用化を促進していきたいとしている。
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・シスメックス株式会社 ニュースリリース