■門前適正化、地域性を考慮
厚生労働省は8日、中央社会保険医療協議会総会に、2018年度調剤報酬改定に向けた論点を提示した。「かかりつけ薬剤師指導料」(70点:1回につき)の算定を適切に推進するため、かかりつけに同意する必要性を患者と薬剤師が双方で確認した上で、その内容を同意書に記載することや、同指導料を薬剤師1人当たり月100件以上算定している場合に調剤基本料の特例から復活できる規定を「廃止を含めて見直す」ことを提案。お薬手帳を十分に活用できていない薬局の「薬剤服用歴管理指導料」を引き下げる方向性も示した。いわゆる大型門前薬局については、さらなる報酬の適正化を行うこととしたが、医療資源が乏しく、特定の医療機関から処方箋が集中してしまう薬局の評価については、検討が必要とした。
16年度診療報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師指導料」の算定では、患者にかかりつけ薬剤師に関する丁寧な説明を行った上で、患者の同意を得る必要がある。18年度改定では、同指導料の算定を適切に推進するため、「同意の必要性を患者・薬剤師の双方で確認することとし、かかりつけ薬剤師指導料等に関する同意書の基本的様式を明らかにする」などの措置を検討する。
また、同指導料は、薬剤師1人当たり月100件以上算定(自己負担のない患者を除く)している場合に、調剤基本料の特例対象から除外できることになっているが、この規定についても「廃止を含めて要件の見直し」を検討する。
対物業務から対人業務へのシフトを促す観点から、16年度改定に引き続き、調剤料の評価の見直しを進めることを提案。お薬手帳の活用を十分に推進できていない場合の「薬剤服用歴管理指導料」の評価引き下げや、同指導料の要件に次回の服薬指導の計画を加えるなどの見直しを行うことを提案。
医療機関からの指示に基づいて薬局薬剤師が服用期間中の服薬状況等をフォローし、その結果を医療機関と共有することで、服薬アドヒアランスの向上や、患者の薬物療法の安全性に資する業務を行っている薬局の評価を求めた。
一方、店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局、不動産の賃貸借等の関係がある薬局の評価は見直すことを提案。ただ、医療資源の乏しい地域で、周囲の医療機関が限られる中で開局している薬局の評価については「どう考えるか」とした。
基準調剤加算の要件に、「患者の薬物療法の安全性向上に資する事例の共有」を加えることや、今後、整備される医療従事者の報告体制を整えるための手引き「医薬関係者の副作用報告ガイダンス骨子」を踏まえ、薬局による副作用報告を要件化することを「検討してはどうか」とした。
■調剤料「是正すべき」-「1:0.3」見直しも
支払、診療側からは、調剤料について、「抜本的な見直し」を求める声が上がった。診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、院内処方と院外処方で大きく異なるコストを問題視し、調剤料について「早急かつ大胆に是正すべき」と主張。支払側の宮近清文委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)も「抜本的な見直しが必要」と同調した。
これに対し、診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、調剤料の見直しは「大きな影響がある」ため、「見直しには慎重に対応してもらいたい」と理解を求めた。
厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、院外処方には、薬剤師による処方監査のコストや、医薬品の備蓄費なども含まれているため、院内処方との単純な比較にはならないなどと説明したが、「差額に見合ったサービスが提供できているかどうか」を踏まえ、「調剤料のあるべき姿について検討したい」と応じた。
今村委員は、診療報酬本体における医科:調剤の配分比率「1:0.3」について、「固定する必要はない」との考えを示した。本来、財源配分の議論は、中医協マターではないため、異例の発言といえる。