■18年ぶりの9%台
厚生労働省は6日、医療用医薬品の現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、2017年9月取引分で約9.1%だったとする薬価本調査の速報値を、中央社会保険医療協議会総会に報告した。前回調査に比べて薬価の開きは0.3ポイント拡大。乖離率9%台は1999年調査の9.5%以来18年ぶりで、後発医薬品の使用割合が増えたことが要因と見られる。流通安定のための調整幅2%を差し引くと、市場実勢価に基づく薬価引き下げ率は約7.1%となる。直近の2014年度の薬剤費は約9兆円と見られており、これに当てはめると乖離率のみで約6400億円の削減効果がある。
今回の調査は、2017年9月取引分を対象に、販売サイドから11月2日までに報告があった取引価格を集計した。
市場規模の大きい主な薬効群別の乖離率を取引金額上位で見ると、内用薬では「その他アレルギー用薬」が14.5%で最も大きい乖離率となった。このほか、「血圧降下剤」の13.3%、「消化性潰瘍用剤」の13.1%、「高脂血症用剤」の12.7%などの乖離率が大きく、内用薬全体では10.1%となった。
注射薬では「その他の腫瘍用薬」が6.0%、「他に分類されない代謝性医薬品」が7.8%、「血液製剤類」が3.6%、「その他のホルモン剤」が8.4%、「その他の消化器官用薬」が8.1%、注射薬全体では7.2%だった。
外用薬では「眼科用剤」が7.8%、「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」が9.3%、「その他の呼吸器官用薬」が7.6%、外用薬全体で8.2%だった。
今後、薬価調査の結果をもとに、新薬創出等加算の対象品目や長期収載品の薬価引き下げ、費用対効果評価の試行的導入による薬価引き下げなどが決まるため、引き下げ率が変動する可能性がある。
後発品の数量シェアは約65.8%で、15年の約56.2%から9.6ポイント上昇した。
この日の中医協で厚労省は、材料価格調査の結果も報告した。特定保険医療材料の基準収載価格と市場実勢価格の平均乖離率は約7.0%で、2年前の前回調査から0.9ポイント縮小した。