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新規ADCを用いた子宮がん肉腫対象の医師主導治験を全国7施設で開始-国がん

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2017年12月06日 PM01:30

HER2タンパク発現の子宮がん肉腫を対象として

国立がん研究センターは12月4日、同センター中央病院が、子宮がん肉腫を対象に、新規の抗体薬物複合体()DS-8201の医師主導治験を開始したと発表した。この試験は、国立がん研究センター中央病院、、静岡県立がんセンター、愛知県がんセンター中央病院、兵庫県立がんセンター、、九州がんセンターの全国7施設で実施する。

子宮がん肉腫は、がん腫成分と肉腫成分から構成される悪性度の高い腫瘍。疾患概念が長期間確立しなかったこともあり、臨床試験の対象からはしばしば除外されている。子宮がん肉腫が子宮体部悪性腫瘍の発生数で占める割合は5%未満で、死亡数は子宮体部悪性腫瘍全体の約15%を占める。このことから、希少がんであり非常に悪性度の高い腫瘍だといえる。切除不能の子宮がん肉腫に対する薬物療法は、子宮体がんに準じて選択されることが多いものの、その選択肢は極めて限定的だ。

子宮がん肉腫は、HER2タンパクが過剰発現していることが報告されている。国立がん研究センター中央病院で治療を実施した患者の腫瘍組織を用いてHER2タンパクの発現状況を調査した結果、HER2:3+と判定された患者が8.3%、HER2:2+と判定された患者が36%、HER2:1+と判定された患者が33%、HER2:陰性と判定された患者が23%で、約半数の患者にHER2タンパクが過剰発現(HER2:2+以上)していることが確認されたという。

この結果をもとに、研究グループはHER2タンパクを発現している子宮がん肉腫を対象として、開発中の新規治療薬であるDS-8201の有効性および安全性を評価する医師主導治験を計画。子宮がん肉腫に発現するHER2タンパクを標的とした分子標的薬としては世界初の医師主導治験となる。

乳がん、胃がんなどを対象とした試験も進行中の抗体薬物複合体

DS-8201は、第一三共株式会社が創製したHER2に対する抗体薬物複合体。抗体薬物複合体とは、抗体と薬物を適切なリンカーを介して結合させたもので、HER2に結合する抗体を介して薬物をがん細胞に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤。

同剤は、第一三共主導で実施した日米第1相臨床試験(標準的治療が不応または不耐となったHER2陽性の再発・転移性乳がんや胃がん患者を対象にDS-8201の安全性、忍容性および予備的有効性を評価した試験)で良好な結果が得られたことから、米国食品医薬品局(FDA)よりHER2陽性の再発・転移性乳がん治療を対象として「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」の指定を受けている。同社では乳がん、胃がん等を対象とした臨床試験を進行中だ。

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