■病院薬剤師の取り組み反映
厚生労働省は1日、入院患者が服用している多種類の内服薬を減らす病院薬剤師の取り組みを評価する「薬剤総合評価調整加算」について、算定対象外だった地域包括ケア病棟を評価対象に追加する論点を、中央社会保険医療協議会総会に示した。日本病院薬剤師会の調査によると、地域包括ケア病棟の半数以上で多剤投薬(ポリファーマシー)の解消に向けた取り組みが行われているものの、同加算を算定できない実態があった。こうした病院薬剤師の減薬に対する取り組み実績を踏まえ、地域包括ケア病棟を加算対象に加えることにした。
高齢者等のポリファーマシーへの減薬対応を評価するため、2016年度診療報酬改定で新設された「薬剤総合評価調整加算」(250点)は、病院薬剤師が処方内容を総合的に評価し、入院時に患者が服薬していた薬剤の種類を退院時に減少させる取り組みを評価するもの。入院時に6種類以上使っていた薬を2種類以上削減できた場合などに、退院時に1回算定できることになった。
日本病院薬剤師会の16年度調査では、薬剤総合評価調整加算の算定施設は16.5%(625施設)となっている。病床別に見ると、100~299床が308施設と最も多く、次いで50~90床が117施設と中小病院で算定率が高い傾向が明らかになった。
一方、同加算の算定対象外となっているにもかかわらず、ポリファーマシーの減薬の取り組みを行っている医療機関の割合を見ると、地域包括ケア病棟入院料の算定施設が54.1%と半数以上に上っていることが分かった。その理由は症状改善が65.8%と大半を占めた。
また、障害者施設等入院基本料の算定施設が12.3%、緩和ケア病棟入院料が8.2%、特定集中治療室管理料が5.7%、ハイケアユニット入院医療管理料が4.9%と、同加算の算定対象外であるにもかかわらず、病院薬剤師が広くポリファーマシーの減薬に対応している実態が明らかになった。
ただ、地域包括ケア病棟は、在宅・生活復帰支援を狙いに設置されたもので、内服薬の管理等は地域包括ケア病棟入院料に包括されているとの考え方になっていた。そのため厚労省は、病院薬剤師の取り組み実績を踏まえ、薬剤総合評価調整加算の評価対象に地域包括ケア病棟を追加する案を示し、診療側、支払側の委員から賛同を得た。
診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会副会長)は「地域包括ケア病棟では入院期間中に取り扱う疾患が多く、ポリファーマシーの減薬に取り組む機会が多い。ぜひ評価対象にしてほしい」とエールを送った。