厚生労働省は11月29日、輸出貿易管理令を改正して血漿分画製剤の輸出を認める案を血液事業部会運営委員会に示し、了承された。血液製剤の輸出が認められるのは半世紀ぶりとなる。国内自給を満たした品目のうち、生産過程で余った未利用の中間原料で、海外患者への貢献を目的とするものに限り輸出できるようにする。今月中に開催予定の部会で審議後、2019年度をメドに血液法の関連省令と合わせて改正し、20年度から輸出を解禁する見通しだ。
改正案では、経済産業省の輸出貿易管理令を改正し、対象品目から血漿分画製剤を外して輸出できるようにすると共に、血液法に関する省令も改正し、厚労省が輸出動向を管理することとしている。
輸出できる品目は、国内自給を満たしていることが前提。その上で、献血を有効活用する観点から、生産過程で余剰が出た未利用の原料であり、海外患者への貢献を目的とするものに限定した。ただ、国内に輸入した品目を国家間で移動させること、海外からの委託で加工した品目などは例外的に輸出を認めている。
メーカーは翌年度に輸出を見込む血漿分画製剤の種類、量のほか、輸出実績を毎月報告する。厚労省は、全メーカーの輸出量と国内の需給動向を継続的にチェックする。血液製剤の需要・供給見込みを盛り込んだ需給計画に著しく反する場合、メーカーに計画を遵守するよう勧告し、改善の見込みがない場合は業務停止命令を出す。
2018年度中に、輸出に対する国民の理解を促すことを目的に広く周知し、19年度をメドに輸出令と血液法の関連省令を改正し、メーカーが輸出できるのは20年度からとなる。
血漿分画製剤は1966年から輸出が禁じられてきたが、2016年10月に公表されたワクチン・血液製剤タスクフォースの顧問の提言で、「余剰成分を利活用した必要な人道支援を可能にするため、輸出貿易管理令の運用見直し等を行う」とされたことなどを踏まえ、専門家、日本赤十字、メーカーを交え、輸出規制の見直しに向けた検討を進めてきた。
現時点で内資系メーカー3社が輸出を検討している品目に関しては、化学及血清療法研究所が「3製品について輸出の可能性がある」との考えを示している。一方、日本血液製剤機構と日本製薬は「条件次第で輸出を検討するが、現時点で輸出予定の製品はない」としている。