■私大協が方針確認
日本私立薬科大学協会(会長:井上圭三・帝京大学副学長)は11月28日、都内で通常総会を開き、新たな実務実習を想定して2018年度からの「全面的実施」を目指しているトライアル実習について、実習施設と大学が連携して作成する「実務実習実施計画書」や、新たな「概略評価」を用い、「全大学が統一して行う」方針を確認した。文部科学省高等教育局医学教育課の前島一実薬学教育専門官は、先月21日の「薬学実務実習に関する連絡会議」での議論を踏まえ、18年度のトライアル実習に「学習成果基盤型教育(OBE)の考え方による評価、大学・病院・薬局間の連携ツールを使って、取り組んでもらいたい」と要請した。
改訂モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習が19年から始まるため、18年度のトライアル実習は円滑な導入を行う上で、重要な位置づけとなる。
連絡会議が策定した「実務実習に関するガイドライン」では、新たな実習において、大学と病院、薬局が連携して実習生ごとに実施計画書を作成することや、OBEの考え方に基づいて、実習修了時の目標到達度を評価することを求めている。
ただ、これらを各大学が独自に進めると、計画書の記載内容や、実習の評価方法に大きなバラツキが生じる可能性があるため、各大学の独自性を尊重しつつも、大きく逸脱しないようにするため、連絡会議では、評価の観点(例示)、評価の例示(補足)を提示している。
この日の総会では、2018年4月からのトライアル実習は、新たな計画書、評価方法を用いて「全大学が統一して」実施すると共に、「基本的には今の例示を“原則、基準”と解釈し、取り組む」(井上氏)との方向性を確認した。
総会後、井上氏は、2018年1月22日にも関係者に集まってもらい、こうした方針について「再度、説明を行う」ことも明らかにした。
前島氏は、21日の連絡会議で、トライアル実習について、「全面的な実施を目指す」ことが「強い意見として出た」と説明。
文科省としても、「OBEの考え方による評価、大学・病院・薬局間の連携ツールを用い、トライアルで取り組んでもらうことが重要」との認識を示した上で、トライアルの実施に向けて、関係者が「共通認識を持って進めてもらいたい」と語った。
また、連絡会議で示された評価の例示(補足)について、「三つの概略評価の対応関係を整理し、考え方を一つにまとめたもの」と説明し、「これらを参考にして、大学として全体的な評価をどうするのかを考えていただきたい」とした。