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青黛の潰瘍性大腸炎に対する有効性を実証-慶大ら

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2017年11月30日 PM04:00

有効率などでプラセボより高率も、5%以上に有害事象

慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教室の金井隆典教授、長沼誠准教授らを中心とした全国33施設の多施設共同研究グループは、植物由来製品の青黛(せいたい)が潰瘍性大腸炎の治療に有効であることを実証したと発表した。研究成果は、11月22日に米科学誌「Gastroenterology」のオンライン速報版に掲載された。


画像はリリースより

青黛はリュウキュウアイ、アイなどの植物から抽出した粉末の生薬で、日本でも染料や健康食品などとして用いられている。中国では、古くから潰瘍性大腸炎に対して青黛を含む薬が用いられていたが、その有効性や安全性に関して十分な科学的検証はなされていなかった。

研究グループは、中等症以上の活動期潰瘍性大腸炎患者86名に対し、治療薬(0.5g/日、1.0g/日、2.0g/日)、プラセボの4群に無作為に割り付け、カプセル化した青黛を8週間経口投与。その結果、有効率はプラセボ群で 13.6%であったのに対し、治療薬群では69.6%(0.5g/日)、75.0%(1.0g/日)、81.0%(2.0g/日)と有意に高率だった。また、症状消失を示す臨床的寛解率、粘膜治癒率(内視鏡的寛解率)も、治療薬群でプラセボ群よりも高率だった。臨床試験期間中に重篤な有害事象は認められなかったが、治療関連有害事象として、軽度の一過性肝障害、頭痛、胃痛・腹痛、嘔気が5%以上の患者に観察された。

複数の肺動脈性肺高血圧症発現事例、厚労省も注意喚起

厚生労働省は2016年12月27日、青黛を摂取した潰瘍性大腸炎患者において、肺動脈性肺高血圧症が発現した事例が複数存在していることが判明したことから、保健医療の関連学会に対して患者が自己判断で青黛を摂取しないよう指導を求める通知を出している。同通知では代表的な症例として、青黛を13か月摂取し、肺動脈性肺高血圧と診断された50代男性の例を挙げている。

【代表的な症例の概要】(患者が自己判断で摂取した症例)
<摂取開始8か月前>潰瘍性大腸炎発症。
<摂取開始6か月前>潰瘍性大腸炎と診断され、メサラジン内服開始。
<摂取開始4か月前>潰瘍性大腸炎悪化、他院にて加療開始。
患者が自己判断で市販青黛の摂取を開始
<摂取開始約12か月後>労作時息切れあり。次第に増悪し、下り坂でさえも少し息が切れるようになる。
<摂取開始約16か月後>潰瘍性大腸炎悪化で入院。椅子に座って何もしていなくても息がしづらいことがある。平坦な道であれば、10~15分は歩行可能。心エコーにて右心負荷・肺高血圧所見あり。TRPG(三尖弁逆流収縮期圧較差)54.1mmHg。CTでは明らかな肺塞栓の所見なし。肺血流シンチグラム(肺血流RI)でも有意所見なし。青黛摂取中止。

厚生労働省「植物由来製品による健康被害(疑い)について」よりQLifePro編集部で編集

注意喚起を受け、120例の予定を86例の登録で中断

同グループでは厚労省の注意喚起が出された時点で、肺動脈性肺高血圧症発生例はなかったものの、試験責任者の判断で肺動脈性肺高血圧症発生数の実態が詳細に明らかになるまで、臨床試験の中止を決定。当初120例の予定を86例で中断した。今回の結果公表について、同グループでは「本研究グループが行ったものは、安全性、有効性を評価することを目的とした試験であり、患者が自己判断で青黛を使用すべきではないと考えていますが、この注意喚起後、安全性を最優先し、本臨床試験を中断の上、結果を公表したものです」、「今後、動物実験を含む研究をさらに行い、安全に使用できるよう治療開発を推進していきます」としている。

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