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【新座病院】同種同効薬使用に優先順位-フォーミュラリー、中小病院でも

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2017年11月27日 AM10:15

埼玉県にある新座病院(128床)は、科学的根拠に経済性を踏まえてまとめる医薬品の使用指針「」を院内で策定し、適正使用に役立てている。同種同効薬のうち、先発品しか存在しない成分とジェネリック医薬品()が存在する成分の有効性や安全性、経済性をきめ細かく比較して優先順位を示し、院内でGE薬の使用を推進してきた。海外で確立されたこの仕組みは、医療費の増加抑制が課題となる日本でも国家施策の観点から注目されている。聖マリアンナ医科大学病院の導入事例が広く知られているが、今後は新座病院のような中小病院でも導入が進みそうだ。

■新座病院が3領域策定

新座病院は、回復期リハビリテーション病棟(96床)が主体の病院。回復期リハ病棟の薬剤費は入院料に包括され、出来高では算定できない。薬剤費を抑えることが病院経営上の課題だ。

とはいえ、単純に同種同効薬の中から価格の観点だけで使用する医薬品を選定するのでは、患者に悪影響が及びかねない。科学的根拠をもとに有効性や安全性、経済性を踏まえて同種同効薬を評価する必要があるとして2014年からフォーミュラリーの導入を開始。これまでに3領域で策定した。

新座病院は基本的にGE薬が存在する場合はその使用を推奨している。先発品しか存在しない成分で替えが効かない医薬品は、その使用を認めている。その上で、同種同効薬のうち先発品しか存在しない成分とGE薬が存在する成分のどちらを選ぶかは、これまで医師の裁量に委ねられてきた。フォーミュラリーを策定した領域では、先発品しか存在しない成分に比べても、GE薬が存在する成分の有効性や安全性は劣らず、経済性は勝っているとして、GE薬の使用を医師に推奨している。

フォーミュラリー策定時には、薬剤師が中心になって国内外の論文を網羅的に調べ、科学的根拠をもとに同種同効薬の評価を行う。まず、同一薬効の薬剤を系統的に評価したシステマティックレビューが論文として報告されていれば、その批判的吟味を実施する。報告がなければ様々な論文をもとに自らシステマティックレビューを実施したり、有効性や安全性、経済性を批判的に吟味したりする。その結果をもとに医薬品使用の優先順位をつけたフォーミュラリーを作成し、院長と医局の承認を取得して運用を開始する。

現場の医師向けにはA4サイズ1枚の簡易版資料と複数枚にわたる詳細版資料を作成して説明し、理解を得る。策定後、フォーミュラリーに沿わない処方があれば薬剤師が医師に問い合わせる。その結果、約8割の医師が処方変更を承諾するという。

14年以降、長期間の服薬が必要な生活習慣病を対象に3領域のフォーミュラリーを策定した。

まず取り組んだのが高血圧患者の治療に使用するレニン-アンジオテンシン系阻害薬のフォーミュラリー。GE薬が存在するACE阻害薬のイミダプリルを第一選択とし、ACE阻害剤の忍容性がない場合には、アンジオテンシンII受容体阻害薬のロサルタンなどを選ぶことを推奨している。続いて、高脂血症の治療に使用するスタチン系薬剤のフォーミュラリーもまとめた。

最近は、高尿酸血症の治療に使用する尿酸生成抑制薬のフォーミュラリーを策定した。100件以上の国内外の論文から参考となる論文を抽出しシステマティックレビューを実施。アロプリノールで効果が認められた場合は総合的な薬剤費が減少することが示されたため、まずはGE薬が存在するアロプリノールで治療を開始し、効果不足時や忍容性がない場合にはフェブキソスタットに変更することを推奨している。

このほか、消化性潰瘍などの治療に使用するプロトンポンプ阻害剤の優先順位や、糖尿病の治療に使用するDPP-4阻害薬の先発品間の優先順位を示したフォーミュラリーの作成を進めている。院内の合意形成を経て、運用を開始する計画だ。

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