すべてのCLL/SLL適応取得を目的に
ヤンセンファーマ株式会社は11月21日、抗悪性腫瘍剤「イムブルビカ(R)カプセル140mg」(一般名:イブルチニブ)について、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含むすべてのCLL/SLLに対する効能・効果を取得することを目的に、承認事項一部変更承認申請を行ったことを発表した。
CLLは、Bリンパ球の腫瘍で、多くは緩徐に進行する。SLLはCLLと同一疾患と定義されており、末梢血や骨髄への浸潤がなくリンパ節腫大を認めるものをSLLとしている。いずれも高齢者に多く見られる希少疾患であり、化学療法のみでの治癒は難しく、再発・進行を繰り返す。日本のCLL/SLLの総患者数は白血病全体の1~2%で、約2,000人と報告されている。
現在、海外でCLL/SLLに対して高いエビデンスを示す治療が国内未承認であることなどから、国内でのCLL/SLLの治療の選択肢は限られている。そのため、忍容性が良好で優れた治療効果により長期に渡り病勢をコントロールできる薬剤の登場が望まれている。
国内未承認のchlorambucil対して無憎悪生存期間など有意に改善
イムブルビカは、1日1回経口投与の新しい作用機序を有するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。BTKは、B細胞の成熟と生存を制御する細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質で、同剤は、このBTKを標的にすることで腫瘍細胞の生存シグナルを阻害し、増殖を抑制する。
国内では、2014年6月にCLL、SLLおよびマントル細胞リンパ腫(MCL)に対して希少疾病用医薬品に指定。2016年3月には、「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の効能・効果で承認され、2016年12月に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」の適応が追加承認されている。
今回の適応追加の申請は、未治療のCLL/SLL患者対象の国内および海外の臨床試験で、同剤の有効性と安全性が確認されたことによるもの。海外で実施された第3相試験「RESONATE-2」(PCYC-1115-CA試験)では、chlorambucil(国内未承認)に対して、無憎悪生存期間、全生存期間、全奏効率で有意な改善を示し、許容可能な安全性が確認されたという。
▼関連リンク
・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース