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【厚労省】長期品引下げに新ルール-「革新薬創出促進」を制度化

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2017年11月24日 AM10:30

厚生労働省は22日、薬価制度の抜本改革の骨子素案を中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示した。長期収載品の薬価について新たな引き下げルールを導入し、後発品置き換え率が80%以上の長期品を後発品薬価の2.5倍に引き下げ、その後6年かけて段階的に後発品の薬価に揃える。先発品企業には、後発品の増産体制の整備を前提に市場撤退の判断を迫る。新薬創出等加算は「革新的新薬創出等促進制度」に改称し、制度化を検討。要件を満たす革新性の高い新薬に絞り込み、国内臨床試験の実施数など企業指標を設け、企業の取り組みのポイントが高いほど薬価が維持される仕組みを導入する。

■厚労省 薬価抜本改革で骨子素案

抜本改革の骨子素案は、長期品薬価の大きな見直しを打ち出した。後発品の上市後、5年の置き換え期間、5年の特例引き下げ適用期間を経て、10年経過した長期品薬価を段階的に後発品と揃えることが柱。後発品置き換え率が80%以上の長期品は、まず後発品の薬価の2.5倍まで引き下げた後、6年かけて後発品薬価に揃える。この間、先発品企業は市場撤退を判断し、後発品企業は増産体制を準備する。

一方、後発品に置き換えが難しい長期品は、先発品企業に安全性情報等の提供義務があることを踏まえ、10年かけて後発品薬価の1.5倍まで引き下げ、後発品と一定の価格差を認める。これら見直しにより、2018年度薬価改定では50%以上の引き下げとなる品目もあるため、初めての適用品目は最大でも引き下げ率を50%とし、売上高に占める割合が高く影響を受ける企業には一定の緩和措置を講じる。長期品の薬価見直しを受け、収載から12年経過した後発品は1価格帯を原則とし、先発品企業が撤退した品目は増産対応企業とそれ以外の企業の品目を分け、2価格帯とする。

新薬創出等加算は「革新的新薬創出等促進制度」と改称し、対象を革新性と有用性のある品目に限る仕組みに見直し、制度化を目指す。平均乖離率以下の要件は廃止する。新規作用機序品は、臨床試験の主要評価項目で優越性が示されていることなど三つの要件のうち、どれかを満たす品目だけに限定。その上で、▽革新的新薬創出▽ドラッグラグ解消▽世界に先駆けた新薬開発――の指標を設定し、これらの取り組み状況に応じて加算にメリハリをつける。

具体的には、第II相以降の国内試験実施数、新薬収載実績等をポイント化し、合計が高いほど加算額を手厚くし、薬価がより維持される仕組みとした。加算額は上限を設け、平均乖離率を超えない場合は8割、超える場合は5割となる。

その他、効能追加に伴う市場拡大に対応するため、年4回の新薬収載の機会に再算定を行う品目は350億円超を対象とするほか、毎年薬価改定は全ての医薬品卸から調査対象を抽出し全品目の薬価調査を行う。対象品目の範囲は20年度に決め、21年度から実施する。

抜本改革の骨子素案について、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「長期品を後発品の薬価まで引き下げる方向性は賛同する」と述べ、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「新薬加算の対象絞り込み、要件設定の方向性は賛同」としたが、後発品への置き換え期間が5年あることに「スピード感が足りない。時間軸は再検討すべき」と指摘。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「5年の置き換え期間は長すぎる。次の改定までの2年としてもいいのでは」と置き換え猶予期間の短縮を迫った。

業界代表の上出厚志専門委員(アステラス製薬執行役員医療政策部長)は、「方向性は否定すべきものではない」と理解を示しつつ、「あくまでも新薬創出を促進する制度とのバランスが重要」とクギを刺した。その上で、「見直し案では95%の企業がたとえ品目要件に合致した品目でも薬価が維持されない仕組みと理解しており、非常に厳しく要件に縛られる仕組み。これが企業の開発意欲を阻害し、患者に必要な薬が提供できない状況にならないような措置が必要」と訴えた。

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