この日は、参考人の伊藤由希子氏(津田塾大学総合政策学部准教授)が、院内処方と院外処方の処方箋1枚当たりの差額を2000円と試算。これに年間の処方箋枚数8億枚を乗ずると「単純計算で1.6兆円もの医療費が減ることになる」とした上で、「多額の公費がつぎ込まれているが、この金額と実際に薬局で受けられるサービスの対価が見合っているのか」についての議論が必要とした。
佐藤主光氏(一橋大学国際・公共政策大学院教授)は、「なぜ院外だと3倍も高い金額を払うことになるのかというのが大きな疑問。調剤報酬の設定が今の薬局の活動実態を反映しているのか」と疑問視。また、薬剤師のチェックによって、医師の処方が変更され、実際に薬剤が減ったというケースが「3倍の価値になるほど散見されているのか」と質した。
河村小百合氏(日本総合研究所調査部上席主任研究員)は、薬剤服用歴管理指導料の算定要件となっている、薬剤情報提供文書を用いた説明、手帳への記載、後発品の説明などについて触れ、「薬剤師が必ずやることで、なんとなく二重取りされている」との印象を語り、指導料と調剤基本料は「一本化すべき」と主張した。
厚労省は、疑義照会を行って実際に薬剤数を減らして「重複投薬・相互作用等防止加算」を算定した件数が、15年度の8万7000件から16年度には27万8000件に増加していることや、薬剤師の積極的な説明による後発品への置き換え効果などに触れ、医療安全や医療費適正化に「それなりの効果はあるのではないか」と強調。
また、院内処方は、入院などで点数を手厚くつけるなど、医療機関全体としての点数のつけ方があり、報酬に関する費用負担の考え方が薬局と医療機関との間で異なるため、院内と院外を単純比較して「コストが3倍」などとする指摘は当たらないとの考えを示した。
厚労省の主張に対する会議側のコメントはないまま、予定されていた1時間を過ぎた頃、急きょ、司会者に促されて佐藤氏が取りまとめを実施。
調剤技術料について、「薬剤師・薬局のサービスが生み出す価値の如何を問うことのないまま、費用を補填する仕組みになっており、3倍に見合う価値が検証されていない。一層引き下げの余地がある」と指摘。「全体的な報酬水準引き下げを含め、メリハリのある報酬体系を作っていく必要がある」とした。
また、調剤基本料については、「医薬分業が定着していることから、その役割は終えているということも含めて見直しが必要」とまとめた。