高頻度の眼内注射が患者・介護の負担になるnAMD治療
スイスのノバルティス社は11月10日、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)の患者を対象に、brolucizumab(RTH258)とアフリベルセプトを比較した2つの第3相臨床試験において、主要評価項目の非劣性、主要な網膜の疾患活動性アウトカムにおける有用性、および長期間の持続効果が確認されたと発表した。この結果は、米国眼科学会(AAO)2017年年次総会にて発表された。
nAMDは、眼内の異常血管から血液成分が漏れ出し、最終的に損傷および失明を引き起こす疾患。北米、欧州、オーストラリアおよびアジアの65歳以上の人々における重度の視力喪失および法的盲の主な原因とされる。初期症状として変視症が生じたり、ものを明確に見ることが難しくなったりするため、迅速な診断と治療が不可欠だ。nAMD治療では高頻度の眼内注射が一般的だが、これは患者および介護者にとって大きな負担となっている。
brolucizumabはヒト化一本鎖抗体フラグメント(scFv)。一本鎖抗体フラグメントは、分子量が小さく、組織への透過性が高く、体循環からのクリアランスが早く、また薬物輸送上の特徴をもつ。この独自の構造により、分子量が低くなり(26 kDa)、すべてのVEGF-Aアイソフォームに高い親和性をもち、それらを強力に阻害する。
48週時点までのBCVA平均変化量で、アフリベルセプトに非劣性
今回、試験結果が発表されたHAWKおよびHARRIER試験では、16週時点で網膜内滲出液(IRF)/網膜下液(SRF)を認める割合は、brolucizumab 6mg投与群ではアフリベルセプト投与群に比べて、HAWK試験で35%、HARRIER試験で33%低かった(両試験P<0.0001)。また48週時点でIRF/SRFを認める割合は、brolucizumab 6mg投与群ではアフリベルセプト投与群に比べて、HAWK試験では31%、HARRIER試験では41%低くなっていた(両試験P<0.0001)。また、brolucizumab投与群で網膜滲出液が認められなかった患者では、作用が長期間持続し、治療の必要性が低下したことが示唆されたとしている。さらに、brolucizumab 6mg投与群の患者では、中心サブフィールドの中心窩網膜厚(CST)が16週時点(HAWK試験でP=0.0016、HARRIER試験でP<0.0001)および48週時点(それぞれP=0.0023、P<0.0001)で、有意に減少したという。
両試験の主要有効性評価項目は、ベースラインから48週時点までの最高矯正視力(BCVA)の平均変化量で、brolucizumabはアフリベルセプトに対し非劣性であることを確認。brolucizumab群の大半の患者(HAWK試験で57%、HARRIER試験で52%)は、導入期直後後から48週時まで12週間投与スケジュールを維持しながら、上述の結果が達成されたとしている。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース