■制度改正等は厚科審部会で審議
厚生労働省は10日、「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」に、12月の取りまとめに向けた対応方針(案)を提示した。国際的な「医薬品適正流通基準」であるGDP(Good Distribution Practice)に準拠したガイドラインを整備し、自主的な取り組みを促すほか、薬機法改正も視野に、医薬品卸売販売業の「業務体制」に係る基準を設け、「許可基準」に盛り込む。薬局開設者と管理薬剤師の責任・責務の法令上の位置づけは、「さらに検討を進める」とされ、議論の場は今後、「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」に移されることになりそうだ。
流通過程の医療用医薬品の安全性確保に向けて、PIC/SのGDPガイドライン全般に準拠した国内向けGDPガイドライン(GL)を作成すると共に、厚労省が広く周知し、事業者における自主的な取り組みを促していく。
GL作成に当たっては、既に日本医薬品卸売業連合会の自主基準(Japanese Good Supplying Practice:JGSP)で取り組みが求められている事項と、追加的に対応が求められる事項を整理する。また、卸売販売業の許可には、構造設備と人的な要件しかないため、「業務を行う体制」に関する基準を設けた上で許可基準として位置づける。
委員からは、早期の対応を求める意見が上がったほか、「報告書にスケジュールを書き込むべき」などの要望が出たが、卸売販売業の許可基準を強化する場合、薬機法改正を伴う可能性が出てくるため、スケジュールの明示について厚労省は、「難しい」と応じた。
一定の規模を有する薬局で、他の薬局への医薬品販売・授与が業務の中心になっている場合には、卸売販売業の許可を取得するよう促す。
薬局は、地域住民に医薬品を供給する場所で、他の薬局への販売・授与は付帯業務に当たるが、実態として卸売販売業と考えられる場合には、JGSPに準じた手順書を備えて業務を行うべきとした。
薬局開設者、管理薬剤師の責任、責務については、薬局を経営する企業の企業ガバナンスのあり方、薬局・薬剤師の業務のあり方など、「様々な論点と密接に関連するもの」とし、「制度全体の課題として、さらに検討を進める」こととなった。
薬局開設者と管理薬剤師の責任・責務を法令上、どう位置づけるかによって、法改正を伴うのか、政省令の改正で済むのかなど、行政上の対応が異なってくるため、医薬品、医療機器等施策に関する重要事項を処理する「医薬品医療機器制度部会」で議論することが想定されている。