厚労省は、在宅患者に対して訪問薬剤管理を行う薬局数が年々、増加しているデータを提示。全体として、在宅での薬剤管理は進んでいるものの、無菌製剤処理や麻薬指導加算などの、積極的な対応を要する在宅薬剤管理の取り組みは「緩やかな伸び」にとどまっているとした。
無菌調剤室を有する薬局の無菌調剤室の利用(共同利用)により、無菌製剤処理を行うことが可能となっており、共同利用の実施状況は、2014年の11.3%から15年10月には16.1%に増えている。
厚労省は、「無菌製剤など積極的な対応を要する在宅薬剤管理をより広く推進するため、専門的な技術を要する在宅薬剤管理の実績や地域の薬局への支援等に着目した評価を検討してはどうか」と提案した。
小児の在宅薬剤管理については、16年度「薬局の機能に係る実態調査」で、実際に実施していた薬局は9.2%と限られているものの、小児に対する在宅患者訪問薬剤管理指導を算定する回数が伸びているといったデータを提示。
ただ、外来での小児の服薬指導と比べて、在宅では「服薬方法が特殊(経管投与など)な場合がある」「使用薬剤が特殊な場合がある」「家族への手厚い説明が必要」など、業務負担が大きいため、小児の在宅薬剤管理に対する評価を提案した。
診療側の松本純一委員(日医常任理事)は、無菌製剤室を提供するなどして、地域での薬局の在宅対応を支援する薬局への評価には理解を示したものの、小児に対して在宅薬剤管理を行うことで、どれだけ服薬管理や説明の負担が増えるのかといった違いが明確でないため、「小児に対する評価は理解しがたい」などと反対。
厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、小児への在宅薬剤管理では、薬剤投与の工夫や、家族への手厚い服薬指導などを行う必要があるため、「業務負担に応じた評価のあり方があってもよいのでは」と理解を求めた。
診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)も、小児の在宅薬剤管理は、通常の在宅業務以上に小児科医や他の医療スタッフと連携する必要があり、「相当な緊張感を持って」対応することなどを踏まえ、「一定の評価は必要ではないか」と訴えた。