■実調結果を公表
厚生労働省は8日、医療機関や薬局の経営状況を調べた「医療経済実態調査」を公表した。薬局の利益率は、診療報酬改定前の2015年度の8.4%から、改定後の16年度には0.6ポイント低下の7.8%となり、経営状況が悪化した。一方、薬局の利益率を立地別に調査した結果では、病院の敷地内に開設した薬局が15年度の18.2%から16年度は14.9%と3.3ポイントの大幅な低下となったものの、利益率が最も高いことが分かった。
調査は、病院2581施設(有効回答数1450施設、有効回答率56.2%)、一般診療所3220施設(1744施設、54.2%)、歯科診療所1143施設(654施設、57.2%)、保険薬局1835施設(1090施設、59.4%)を対象に実施した。
薬局の利益率を開設者別に見ると、個人(62施設)が15年度の9.8%から16年度に10.2%と0.4ポイント改善したものの、法人(1028施設)は8.3%から7.7%と0.6ポイント下がり、薬局全体で見ると、診療報酬改定前の15年度に比べ、改定後の16年度に経営状況は悪化していた。
同一法人の保険調剤を行っている店舗数別の利益率を見ると、1店舗で4.8%から3.8%と1ポイントの低下となり、2~5店舗では4.4%から4.0%と0.4ポイント低下。
6~19店舗で、8.9%から8.3%に0.6ポイント低下し、20店舗以上のいわゆる大規模チェーン薬局でも12.8%から12.1%と0.7ポイント低下するなど、経営状況が悪化している傾向が見られた。
今回の調査では、薬局の立地別の経営状況も把握した。「診療所の門前」(634施設)の利益率が7.3%から1.1ポイント低下の6.2%、「500床未満の中小病院の門前」(163施設)が8.8%から0.4ポイント低下の8.4%だった。
これに対し、「500床以上の大病院の門前」(31施設)では、12.9%からわずか0.1ポイント低下の12.8%と高い利益率を維持。「医療モール内」(30施設)も、12.2%から12.9%と0.7ポイント改善していたが、最も利益率が高かったのは「病院敷地内」(4施設)の14.9%だった。
薬局の常勤職員の1人当たり平均給与を調査した結果では、法人の「管理薬剤師」は賞与を含め、15年度の756万円から16年度は766万円と1.3%増加したものの、法人の「薬剤師」は502万円から501万円と0.3ポイント減少し、個人の薬剤師も511万円から508万円と0.7ポイント減少していた。
一般病院の損益率を見ると、マイナス幅が15年度の3.7%から16年度に4.2%と0.5ポイント拡大しており、過去と比較して3番目に悪い経営状況だった。