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パルスレーザー光で抗菌作用をコントロールできる銀ナノ粒子を開発-熊本大

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2017年11月07日 PM02:00

凝集しやすく、抗菌作用がすぐに失われてしまう銀ナノ粒子

熊本大学は11月2日、抗菌効果をもつ銀ナノ粒子を金でコーティングし、その安定性高めるとともに、パルスレーザー光を照射することで、抗菌作用をコントロールする技術を開発したと発表した。この研究は、同大の新留琢郎教授、慶應義塾大学の寺川光洋准教授、大日本塗料株式会社の溝口大剛博士らの共同研究グループによるもの。研究成果は、英国王立化学会の科学雑誌「Nanoscale」 に掲載されている。


画像はリリースより

銀はさまざまな細菌の増殖を抑制するため、主に銀イオンや銀ナノ粒子の形で除菌スプレーなどの抗菌剤として利用されている。薬剤耐性菌に対しても抗菌作用を示すため、抗生物質が効かない感染症にも効果があると期待されている。

一方、その量が多いとヒトの細胞にも毒性を示すため、安全性に注意しなければならない。また、銀ナノ粒子は凝集しやすい性質のため不安定で、抗菌作用がすぐに失われてしまうという欠点があった。

銀ナノ粒子を金でコーティング、光照射部位のみで抗菌作用

そこで研究グループは、三角プレート状の銀ナノ粒子(銀ナノプレート)を金でコーティングし、凝集しないよう安定した分散性と安全性を高めるとともに、抗菌作用を低く抑えたナノ粒子を作製。このナノ粒子に極めて短い時間で点滅する高エネルギーの光である「パルスレーザー光)を照射すると、銀ナノプレートは瞬間的に加熱されて球状に変形し、金コーディングのわずかな隙間から銀イオンが放出されて抗菌作用が現れた。これにより、光照射によって抗菌作用をコントロールできることが明らかになったとしている。

この技術は、抗菌作用を発揮して欲しい部位にのみ光照射することで、他の部位には傷害を与えずに、光照射部位でのみ抗菌作用を発揮する、副作用の少ない感染症治療となることが期待される。また、ナノ粒子は細胞内に取り込まれやすい性質をもつため、細胞の中に寄生している結核菌やレジオネラ菌といった細菌の近くまで到達させることができ、抗生物質がなかなか効かないような細菌にも効果的に抗菌作用を示すのではないか、と研究グループは述べている。

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