大量培養・安定供給できるiPS細胞由来の分化細胞
タカラバイオ株式会社は11月2日、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)臨床応用研究部門の川口義弥教授とともに、「ヒトiPS細胞由来の消化器系細胞の製造技術開発」についての共同研究を開始したことを発表した。
これまで、医薬品候補物質の評価試験では、ヒトから採取した細胞を培養した初代培養細胞が多く用いられてきていた。しかし、初代培養細胞は、安定供給が難しく、ロットの違いによる試験結果の再現性などに問題がある。これに対してiPS細胞由来の分化細胞は、大量培養や安定供給ができ、ヒトの各種細胞の性質を忠実に反映できる可能性が高く、初代培養細胞の代替品として期待が高まっている。
消化器系細胞発生機構解明の研究とiPS細胞誘導技術を組み合わせて
iPS細胞由来分化細胞の中でも、医薬品候補物質の毒性・代謝評価ツールとしてとくに期待されているのが、心筋細胞や肝臓細胞・膵臓細胞等の消化器系細胞である。同社はすでに、ヒトiPS細胞由来心筋細胞・血管内皮細胞や、肝臓細胞・膵臓細胞の販売を開始しており、多くの研究者が利用しているという。今回、生体の細胞の性質をさらに忠実に反映したiPS細胞由来分化細胞の開発を進めるために、この共同研究を開始した。
川口教授は、十二指腸や胆管、膵臓などの消化器系細胞・組織の発生機構解明の研究などに取り組んでいる。この研究による知見と、同社が持つiPS細胞誘導技術とを組み合わせ、より高い品質・純度・機能性のiPS細胞由来消化器系細胞の開発を進めていくとしている。
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・タカラバイオ株式会社 ニュースリリース