成人の筋ジストロフィーで最も頻度が高い筋強直性ジストロフィー
大阪大学は11月1日、筋強直性ジストロフィーの骨格筋障害の原因が、分泌型生理活性物質インターロイキン6の産生異常にあることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科の中森雅之助教、望月秀樹教授らの研究グループによるもの。研究成果は、米科学誌「Cell Reports」に掲載された。
画像はリリースより
筋強直性ジストロフィーは、成人の筋ジストロフィーで最も頻度が高く、有病率は1/8000とされている。筋強直や筋萎縮といった骨格筋の症状や、伝導障害、認知機能障害、白内障、糖尿病などの症状が現れる。遺伝子上の繰り返し配列の異常な伸長が原因と考えられているが、最も重要な症状である筋萎縮のメカニズムは解明されていなかった。
インターロイキン6(IL-6)はサイトカインのひとつで、大阪大学で発見された。骨格筋からも分泌され、代謝の調節や骨格筋の成熟、機能維持に関わるとされている。
異常RNAにより骨格筋でのIL-6の産生が亢進、筋萎縮
研究グループは、とくに筋症状の強い先天型筋強直性ジストロフィーの希少な骨格筋検体を網羅的に解析。筋組織でのCTG繰り返し配列が長いほど、繰り返し配列近傍のCpGメチル化が促進され、より多くの異常RNAが産生されることを見出した。また、異常RNAにより骨格筋でのIL-6の産生が亢進し、筋萎縮につながることが判明したという。
今回の研究成果について研究グループは、現在治療法のない筋強直性ジストロフィーに対して、IL-6を標的とした新たな治療薬の開発に期待がもてる、と述べている。
▼関連リンク
・大阪大学 研究情報