■2018年4月から院生受け入れ
国立がんセンター東病院と明治薬科大学は10月31日、薬学教育と研究を協力して進める連携大学院協定を結んだ。同院に勤務する薬剤師が教員として大学院生の研究指導を担当する一方、薬剤部のスタッフや薬剤師レジデントが4年間の連携大学院に進学できる仕組みを想定。2018年4月から薬学専攻博士課程(4年制)の大学院生受け入れをスタートさせる。
今回の連携大学院により、同院の薬剤師は連携教授・准教授等の教員として、明薬大の大学院生の研究指導を担当する。研究テーマは、癌患者の薬剤指導から得た副作用発現、支持療法の進め方などの臨床的疑問に関する研究、抗癌剤の臨床試験における薬物動態解析研究、放射性医薬品の開発、放射標識体を用いた研究。これら薬剤部が行う研究について大学院生を指導していく予定となっている。
同院の臨床現場で学ぶことにより、大学院生は基礎薬学のみならず、臨床薬学のテーマも幅広く選べるようになる。こうした研究交流を進め、新たな大学院教育を実践していきたい考え。また、大学院生が抗癌剤開発や育薬に関わることで、薬物動態等の薬学的知識、技能を身につけた専門性の高い臨床薬剤師の育成を目指す。
2018年4月から、同院で大学院生の受け入れを開始し、薬剤部などの薬剤師が研究指導を担当する一方、同院の職員や2年目以降の薬剤師レジデントが連携大学院に進学する枠組みを想定している。薬剤師レジデントが連携大学院で学ぶ場合、3年間のレジデント期間を終了した後、さらに2年間の「がん専門修練薬剤師」(チーフレジデント)の期間で学んでいく。社会人も非常勤薬剤師として同院に勤務しながら連携大学院に進むことができるなど、様々な学びのルートが用意されている。
協定締結式で明薬大の石井啓太郎学長は、「6年制薬学部を卒業した後、なかなか博士課程に進学する学生が少ない。その大きな理由の一つに卒業後の進路がある」と指摘。「今回の連携大学院の協定により、臨床現場と連携を強くしていけば、学生にもアピールできるのではないか」と期待感を語った。
同院の大津敦院長は「当院は臨床研究中核病院として、数多くの臨床試験やトランスレーショナルリサーチに取り組んできた実績がある。その様々な領域に薬剤師、薬学の人が取り組むべき部分がある。多くの方々が大学と連携し、さらに東病院の活性化を支えていただけることを期待している」と述べた。