根面う蝕有病率や重症度と歯周病重症度の関連性を調査
サンスターグループ オーラルケアカンパニーは10月31日、「根面う蝕(根元むし歯)」の現状に関する調査結果を発表した。この研究成果は、第147回日本歯科保存学会2017年度秋季学術大会で発表された。
画像はリリースより
近年、高齢者のう蝕は残存歯数の増加に伴って増加し、歯と歯の間にできるう蝕のほかに、歯の治療を行った詰め物の隙間からう蝕が広がる「2次う蝕(再発むし歯)」や、歯周病や加齢などによって歯肉が退縮し、 歯の根面が露出した部分に発生する「根面う蝕」が大きな課題となっている。しかし、根面う蝕に関する研究報告は少なく、歯周病との関連性を調査した報告もほとんどなかった。
今回の研究は、根面う蝕有病率の現状に加え、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査することを目的に実施したという。
根面う蝕と歯周病の重症度、50歳代以外では相関見られず
調査は、2016年11月から2017年1月の2か月間に、サンスター財団附属千里歯科診療所に通院し、カルテデータの使用に同意を得ている20代~80代の男女298名を対象に行われた。サンスターは、調査対象者の匿名カルテ資料の提供を受け、根面う蝕有病率、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査したという。
その結果、根面う蝕有病率は、全体の49.3%であり、30歳代の7.7%から年齢が高くなるにつれ増加し、80歳代が70.0%で最も高い結果だった。また、根面う蝕有病部位の約90%に歯周病、もしくは歯周病既往歴が確認されたことから、歯周病により歯肉退縮が起こり、根面う蝕になるリスクは高いと考えられるという。
その一方で、根面う蝕と歯周病の重症度については、50歳代以外では相関が見られなかったという。これらのことから、根面う蝕や歯周病が発症する前に、根面う蝕予防と歯周病予防を併せて実施することが最も需要であると結論付けている。