開発中の経口投与が可能なHIFプロリン水酸化酵素阻害剤
アステラス製薬株式会社と米FibroGen, Inc.は10月31日、両社が共同で開発を進めるロキサデュスタット(開発コード:ASP1517/FG-4592)について、日本人の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血患者を対象とした最初の第3相臨床試験の結果を発表した。この試験の詳細なデータは、今後の論文での発表を予定している。
ロキサデュスタットは、経口投与可能な低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素阻害剤。HIFは、低酸素の状態に向かう自然な生理学的反応を誘導して赤血球生成やその他の防除経路を最適化する転写因子である。アステラス製薬とFibroGen社は、日本、欧州、独立国家共同体、中東、南アフリカでCKD患者の貧血を対象としたロキサデュスタットの開発を行っている。
目標Hb値維持率はESA未治療患者で92.3%、ESA既治療患者で74.4%
今回の試験は、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴を有する、または治療を行っていない腹膜透析(PD)期のCKD患者を対象とした、多施設共同、無作為化、オープンラベル、非対照第3相試験。腹膜透析療法を受けている56名の患者(43名がESA既治療、13名がESA未治療)を組み入れた。ESA未治療の被験者には、ロキサデュスタットを無作為に割り付けられた50または70mgの開始用量で週3回(TIW)経口投与し、ESA既治療の被験者には、ロキサデュスタットをESAの用量に応じて70mgまたは100mgの開始用量で投与した。有効性評価項目は、第18週から第24週にかけての目標ヘモグロビン(Hb)値維持率(期間:第24週まで)。目標Hb値維持率とは、第18週から第24週にかけてのHb平均値が目標範囲(10.0-12.0g/dL)内にある患者の割合と定義されている。
試験の結果、ロキサデュスタットの忍容性は良好で、ESA既治療の患者とESA未治療の患者の双方で良好な目標Hb値維持率が確認され、ESA未治療の患者で92.3%、ESA既治療の患者で74.4%だった。予備的な安全性の解析結果も、これまでの臨床試験で認められた安全性プロファイルと一致したという。
なお、アステラス製薬は、日本で合計6本の保存期および透析期のCKDに伴う貧血を対象とした第3相臨床試験を実施している。
▼関連リンク
・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース